現場でのネットワーク構築

 今回から数回にわたり、現場でのネットワーク構築についてお話します。
 「ネットワークっていわれてもうちは一人現場ばかりだし……」「本社に近いから経費削減で仮設事務所もないし……」という方も多いでしょう。昨今の管理費削減の影響で、現場あたりの監督が減少し、事務所の簡略化(ハウスのみ電気なし、ハウスなし自動車が事務所を兼ねる、等)が進んでいる状況もあるでしょう。
 しかしそれでは話が始まりませんので、3人程度の現場事務所と仮定して話をさせていただきます。

 

ネットワーク構築によるメリットは、周辺機器の共有とデータ共有の2つがあげられます。
 ところで、情報共有によって二度手間が減ったり、作業分担を明確にすることで作業が効率的になるなど、標準化のメリットもあることを忘れないでください。少人数だから、仮設だから、ネットワークが不要だとお考えの管理者の方は、ネットワーク化による他の効果も考慮する必要があります。

 さて、本題に戻りましょう。ネットワーク構築に必要なものは、次の3つです。

 ・ハードウェア
 ・ソフトウェア
 ・ルール

今回はハードウェアについてお話します。

1.ハードウェア

 ネットワークである以上、パソコン同士をつながなくてはなりません。最近は無線LAN内蔵のパソコンも増え、無線による構築も可能になりましたが、ここでは有線での構築についてお話します。

 必要なものは、ルーター、NAS(ネットワーク型ハードディスク)、プリンターとLANケーブル、OAタップです。できればUPS(無停電電源装置)があると安心です。

 ・ルーター
  ルーターは、複数のパソコンでインターネットを使う際に、ADSLモデムと接続する装置です。
   最近のルーターはハブ(集積装置と呼ばれる)が4ポート内蔵してあり、3人まではこれだけでまかなえます(1つはNASが使用します)。4人以上で使用する場合は、ハブを別途ご用意ください。この際、ルーターとハブをつなぐためにそれぞれのポートが一つずつなくなることを忘れないようにしましょう。
  「インターネットはつながないのになんでルーターなの?」と疑問を持たれる方もおいででしょう。インターネットに接続しなくても、ルーターはDHCPサーバー(第064号の略語参照)を搭載していることから、あとでお話しするソフトウェアの設定が簡略化できるからです。価格は有線のみの場合は4千円未満で売っています。高性能なハブより安いのがびっくりです。

 ・NAS(ネットワーク型ハードディスク)
  最近はいろいろな付加機能が増えていますが、現場で必要なのは、基本機能+プリントサーバー機能があるものです。プリントサーバー機能があれば、市販のインクジェットプリ ンターがたちどころにネットワークプリンターに変身します。昔は、プリンターを共有しようとすると、別途プリントサーバー用機器を買ってきたり、だれかのパソコンにプリンターをつないで共有できるように設定していたのですが、NASにこの機能がついてからは、これだけをすすめています。
  ハードディスク容量は、(大きいほうがいいと思われるでしょうが)少ないのでも充分です。現場のほこりだらけでの環境では通常より短命ですから、高価なものはお勧めしません。価格としては最低でも2万5千円 ぐらい、少し値が張りますが1回購入すれば数現場にわたって使えると思います。
 
 ・プリンター
  望ましいのは、ふちなしプリントができるもの。これがあれば、急に写真が入用でも、デジカメとプリンターでまかなえます。最近流行のスキャナー複合機は、場所をとるのであまりお勧めしません。(ただ、近くにコンビニ等がなくコピーするものが多い場合は、あると簡易コピー機として使えるので購入を検討されてもいいかもしれません。)単機能型で2万円以下、複合機で3万円ぐらいを目安にしてください。
 
 ・LANケーブル
  最近は100円ショップにも売っているほど、一般的になったようです。現場のレイアウトに応じて複数そろえたいところですが、大は小をかねるで5mもしくは3mもので統一するというのも一法でしょう。できれば、色か色を変えておくと管理が容易です。
 
 ・OAタップ
  家電用の電源タップ使用をよく見かけますが、きればOA用のタップをご利用ください。OAタップには落雷防止や集中管理スイッチ、ほこり侵入防止といろいろな機能がついているものが多いからです。機能がつくとそれなりに価格もあがりますが、四千円程度で一生ものと思えばそんなに高くないのでは。
 
 ・UPS(無停電電源装置)
  これは、個人的には現場で必須のアイテムだと思います。落雷だけでなく事故による停電や瞬電(瞬間的な停電)でパソコンがこわれたことが何回かありますが、それらを防ぐのがこのUPSです。特に共有データのあるNASにはぜひ付けていただきたいと思います。小型UPSなら1万円強で買えます。ちなみにUPSでルーター、プリンター、NASをつなぎ、ノートパソコンで環境を構成すると、瞬電や短い停電なら業務がとまる心配もありません。
 
 これをまとめると
 
               +==【パソコン】????+
               +==【パソコン】?【OAタップ】
               +==【パソコン】????+
               |            
 【ルーター】==+==【NAS】??【プリンター】
   |                  |                  |
   +????????【UPS】?????+

   ==は【LANケーブル】

 とこんな感じです。言葉なのでイメージしにくいのはお許しください。