現場でのネットワーク構築(その2)

 前回に引き続き、現場でのネットワーク構築についてです。今回はソフトウェアの話です。

 ソフトウェアといっても、今はほとんどのソフトがウィンドウズの標準ソフトとして入っていますから、改めてソフトをインストールすることはないかもしれません。昔はLANカードは標準ではなく、ハードウェアをセットした後に、メーカーから供給されたソフトを導入して細やかな設定をしないと使えない状態でした。現在では、ほとんどのパソコンがLANカードを内蔵済みで、ソフトも使用できる状態で出荷されています。

 

ちなみに、ネットワークソフトウェアとしては、以下のようなものがあります。
 
 管理ソフト(コントロールパネル?ネットワーク接続)
 閲覧ソフト(エクスプローラー)
 設定ソフト(インターネットエクスプローラー)
 セキュリティソフト

 ( )で示しましたが、既にウィンドウズの標準機能として入っているものです。特に最近のネットワーク機器は、インターネットエクスプローラーに代表されるブラウザを用いて設定できるようになったので、以前のような、ソフトを入れる手間がありません
 唯一、セキュリティソフトだけは、自分で購入して入れる必要があります。フリーソフトもありますが、低価格になってきているので、初心者には市販ソフトをお勧めします。

 ところで、無線LANに関しては最近のパソコンには標準装備になりつつありますが、プリンター、共有ハードディスクとなるとまだまだです。また、安価なパソコンにはついていない場合もあります。しかし、セキュリティを考えると、いろいろな設定が必要な上に情報漏えいという観点からは有線よりも危険度は上がります。なので、土工協などの団体では推奨はしていないようです。
 今回はその点をふまえ、有線のみでの話で進めていきます。

 ソフトウェアの導入が済んでいるのであれば、次に必要なのは設定ですが、これが意外と導入の壁になっています。なぜならば、ハードウェアに関しては物理的につなぐことはそう難しくないのに較べ、ソフトウェアは(自動化している部分はあるとはいえ)いろいろな数字や文字を入力していかなくてはならないからです。では、ソフトウェアの設定に際しては、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。よく相談を受けるトラブルの原因になっている設定を3つあげます。

注意点1(IPアドレス)

 現在、インターネットの通信手順はTCP/IPで行われてます。この通信手順の中のネットワーク上で、個々のパソコンを特定するのに使われているのがIPアドレスというもので、よく、【192.168.1.111】などと書かれているこの番号のことです。DHCP[第064号参照]を導入していれば自動的にアドレスを割り振ってくれますが、それがない場合は個別に設定する必要があります。

 トラブルになるのは、環境が統一されていないいくつかのネットワーク環境(本社、家、現場)を渡り歩くようなパソコンの場合で、このアドレス設定のミスでつながらなくなるのです。これを詳しく説明しようとするとそれだけで数回にわたってしまうので、詳しいことは割愛しますが、この数字は思ったより大事だということを覚えておいてください。また、よくある対処方法として有効なのは、パソコンを再起動することです。そんなことでと思われるかもしれませんが、意外と効くことが多いのです。

注意点2(共有ドライブ)

 共有ドライブも、セキュリティを考慮しないのであれば、比較的トラブルは少ないのですが、セキュリティ強化のためにパスワード設定やドメイン、ワークグループ設定(何台かのパソコンでグループをつくること)をした途端につながらなくなるケースがあります。どこかで設定ミスをしているのが原因ですが、それが見つけられないのです。共有ドライブの設定で大事なことは、

 ・最初は既定の設定で動作確認を行い、接続確認をする。
 ・設定を一つ変えるごとに接続確認をする。
 ・設定内容は必ず記録しておく。
 
ということです。これを守れば、トラブルはほとんどなくなります。まとめてやるほうが楽でも、急がば回れの精神が大切です。

注意点3(セキュリティソフト)

 市販ソフトでもフリーソフトでも、設定をきちんとしないとパソコンソフトがうまく動かないことがあります。最近のウィルスやスパイソフトは巧妙なので、様々な対策を施す必要がありますが、そうすると、普通のソフトがウィルスと勘違いされてこれらセキュリティソフトに止められてしまうのです。
 対処方法は、マニュアルやメーカーのホームページに設定方法が載っていますから、必ず見てください。この類のトラブルもよく聞きます。

 ネットワークは、数年前に比べると設定の自動化が進みとても便利になりましたが、一方でパスワード管理やウィルス対策等を万全にする必要も出てきました。そういう意味では、まだまだ専門知識の必要な分野といえます。会社内外に相談できる専門家を必ず確保しておくことが、一番のポイントになるでしょう。