ウィンドウズのサポート期間

 最近、Windows98 のサポート終了(2006/07/11)に伴うシステムの更新相談が増えてきました。「2000年問題の際に導入したシステムがWindows98 ベースなので、保守契約が更新できないといわれた。どうしたらいいのか?」という相談です。
 今回は、このウィンドウズのサポート期間に伴う問題点についてお話します。

 

「Windows98 のサポート期間が終わったって、システムがとまるわけではないだろう」「うちのシステムはインターネットにはつないでいないので、セキュリティ的には問題ないはず」とお思いの方もいらっしゃるでしょう。これは事実ですし、使うことには何ら支障はありません。ところが、これに保守契約をつけていると話が変わってくるのです。

 保守契約の多くは、システム全体で行っています。そのため、基本ソフトであるウィンドウズの不具合にも、可能な限り対応するようになっているはずです。そこで保守業者は、メーカーがサポートしている期間は同様にサポートしますよという形にしているのです。ここが問題で、システムで使われているウィンドウズのサポート期間が切れると、その上で動くシステムも保守出来ませんとなってしまうわけです。そして最終的には、更新契約ではなく、新規ソフトの購入を迫られることになります。

 「保守なんていらない。自分のところで何とかするよ」という会社ならば問題ありませんが、多くの会社は保守なしでは心配な状況でしょう。納得できない話とお感じになるかもしれませんが、2004年06月からウィンドウズのサポート期間は現在のルールでした。告知活動が少なかったとはいえ、話は以前から出ていたのです。下記に基本的な方針とサポート終了日が書かれています。

http://support.microsoft.com/gp/lifecycle

代表的なウィンドウズを抜き出すと下記のようになります。

 OS名       発売日   サポート終了日
 Windows 98       1998/06/30   2006/07/11
 Windows 98SE     1999/06/30   2006/07/11
 Windows Me       2000/12/31   2006/07/11
 Windows 2000 Pro 2000/03/31   2010/07/13
 Windows XP Home  2001/12/31   2009/01/30(※1)
 Windows XP Pro   2001/12/31   2014/01/30(※1)

 ※1 Windows Vistaが2007/1/30発売として換算

ここで気をつけていただきたいのは、Windows XP Homeです。市販パソコンの大半は、このHOMEエディションがインストールされていますが、そのサポート期限は今からわずか2年半後なのです。(Windows2000より短い)もし、現在Windows98/98SE/ME からシステムを変更しようとする方は、Windows XP のProfessionalエディションを選ぶか、来年まで待ってWindows Vista を購入されるようお勧めします。そうしないと、せっかく導入したのにわずか2年半でま
た。。となる恐れもあります。

 もうひとつ重要なのは、システム開発にせっかく大金を投入しても利用期間が短ければ無駄が大きいということです。通常、ソフトウェアの償却期間は5年なので、最初の保守契約を5年とし、システム開発及び運用を行います。ここで企業は「次の5年は保守契約のみで開発はないはず。よってこのシステムは10年分と考えていいだろう」と、大きな費用をかけます。ところが、上記のようにウィンドウズのサポート期間が終わったので保守の更新契約ができませんとなると、新規ではないにしても、結局は多額のお金を払ってシステム更新を行う必要が出てくるのです。つまり、5年後にまたお金をかけなくてはいけない状況に陥ってしまいます。

 「これじゃ元は取れない」と憤慨する経営者もいらっしゃるでしょう。確かにソフトウェアの償却期間を考えると、5年後には価値が0になるのですからこれも仕方ないわけですが、10年以上使える車や5年以上使える一般機械類に較べると、納得しがたいでしょう。
 しかし、ソフトウェアの世界はまだまだ未成熟です。情報技術はドックイヤー(
人の1年が犬の7年に相当する)のスピードで進化していると称されるように、陳腐化するのも早いのが事実なのです。(例えば、2000年のソフトウェア技術は普通の業界に換算すると、6年×7で40年以上前の技術という認識です)

 では、自社にシステムを導入するのに、どのような点を意識すればいいでしょうか。私のお勧めは、以前お話したように、できるだけ市販ソフトを利用し、無理なところだけ自社開発することです。また、自社開発部分も、データを他で利用できる形式に出力可能とする、5年償却で買い換えてもいいような予算で開発することです。残念ながら、長期間のサポートを保証してくれる開発会社はなかなかありません。セキュリティに厳しい時代となり、古い環境を使い続けることも問題です。適切な時期に適切な更新を行わなければならないのが現状です。情報技術の分野がまだまだ未成熟だと、十分理解して対応していくことが大切です。

 ウィンドウズのサポート期間は、現状はどうしようもありません。ソフトは更新すべきものと認識し予算を確保するしかないでしょう。