IT成熟度と経営(業務)成熟度

 今まで、IT教育運用計画策定やIT導入、利用時のポイントとして「身の丈にあった」というキーワードを使ってきました。また、ITと業務のバランスがとれていないと効果的な成果はあがらないこと、費用対効果を見るためには導入前と導入後を比較できる指標が必要であることも述べました。

 これらのひとつの回答が「成熟度」ですが、「成熟度って目安ってあるの?」「成熟度を上げるってどういうこと?」というの質問が多くあります。そこで、今回は「成熟度」について説明します。

 

「成熟度」とは、経営資源や情報化の現状などを5段階で評価し、段階に応じた改善や改革を行っていくための指標です。

 歴史的に見ると、フィリップ・クロスビーによって、品質向上の状況を正確に把握し、品質向上の施策を導くためのツールとして1970年代後半に開発されたのが始まりとされています。その後、米国レーガン政権のもとで、経営品質を確保し日本に負けない企業をつくるため、1980年代半ば国家経営品質賞(マルコム・ボルドリッジ賞)が創設されました。現在ではEQ(ヨーロッパ品質賞)、
日本経営品質賞と、経営成熟度による賞が世界中で制定されています。

ここで参考までに、フィリップ・クロスビー氏の成熟度レベルを紹介しましょう。

レベル1(半信半疑)
 問題が起きれば取り上げるが、十分に解決できない。やっつけで行っている。
レベル2(覚醒)
 大きな問題の解決にはチームが結成されるが、短期間で終わり継続しない。
レベル3(開眼)
 問題は整然と解決され、是正処置は日常的な出来事となっている。
レベル4(知恵)
 問題はその初期に発見され、対策がなされる。
レベル5(確信)
 きわめて異常なケースを除き、問題は予防される。

このように、レベルが上がるほど品質はよくなり、不具合品が減ります。人・組織の動きが各段階での基準になっているのがポイントです。つまり、チェックシートを作ったりがんじがらめの規則を作ったりしても、守られなければ成熟度は上がりません。「制度やインフラは整備されているのにどうしてうまくいかないのか」とお嘆きの方は、一度自社の成熟度を検討してみてください。きっと制度とのバランスがとれていないことが分かります。

 目安となる「成熟度」ですが、有名なものでは CMMI、COBITなどがあります。おすすめなのは日本経営品質賞で、自己診断の出来る資料が販売されており、1000点満点での評価ができます。量が多いのが難点ですが、日本企業の経営品質の基準と考えられています。どの基準もおおよそ次の6段に分かれています。

レベル0:存在しない、自覚していない
レベル1:認識しているが場当たり的(手順書は頭の中、個人単位)
レベル2:反復可能だが直感的(手順書はあるが、標準化されていない、グループ単位)
レベル3:業務プロセスが定義され、標準化され、守られている(ISOレベル、改善が単発的)
レベル4:測定とモニタリング・評価が可能であり、継続的改善の仕組みができている(トップ企業、優良企業の姿)
レベル5:最適化経営、知識共有経営(経営の理想形)

 こう書くと抽象的でわかりづらいのですが、ISOレベルが3、一般的な中小企業は2程度と理解してください。

 では、成熟度をあげるにはどうすればいいのでしょか。
 自社のレベルがわかれば、そのすぐ上のレベルになるよう必要な体制・仕組みを作ればいいのです。簡単にいうと

レベル0→1:幹部の意識改革(自社を何とかしなくてはという自覚を持ってもらう)
レベル1→2:仕事の手順の文書化(担当者以外でもできるようにする)
レベル2→3:仕事の手順の定義と標準化(無駄な業務をなくし、どこでも同じやり方でできる)
レベル3→4:測定・モニタリング・評価と継続的改善の仕組みづくり(毎日カイゼン)
レベル4→5:知識共有の仕組みづくり、全体最適の追求(常に最善を目指す)

となります。

 成熟度とは、自社のレベルを把握し、次にどこを目指すのか知るための目安です。自社を診断することで、経営改革のヒントが見つかるでしょう。

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