資産(備品)管理とIT

 経営資源をしっかり管理することは、経営上とても重要です。所有している資源を最大限活用することが売上をのばし、利益を大きくするからです。

 代表的な経営資源といえば、「ヒト、モノ、カネ」ですね。しかし、最近の企業では「カネ」以外の管理がおろそかになっている気がします。

 ヒトは前回お話ししたように「中途採用」や「派遣・外注」といった仕組みに頼り、人材管理をおろそかにしている状況です。同じようにモノはデフレ状態が続く中、使い捨て文化が蔓延し、モノを大切にしていない企業が増えている気がします。もしくは、不景気を理由に設備投資を凍結し、既存資産の使いまわしで現状を取り繕っている感じがします。

 建設物でも永久構造物の名のもとに、維持管理を怠ったために、米国での橋梁落下事故に代表されるような問題が噴出しています。「まだ、使えるだろう」「もうちょっと大丈夫だろう」ではだめなのです。

 IT機器に代表される設備・備品の日進月歩は目覚ましいものがあります。使い慣れたものを使い続けることは悪いことではありませんが、期間を決めて、現状を確認し、世の中との差異を調査することはとても大切だと思います。

 そこで重要なのは資産管理です。会社にある資産を洗出し、導入日や支払い方法(購入、リース、レンタル)、関連消耗品、維持管理契約内容、定期点検時期等をまとめて、一覧表を作成することが最初のステップです。調べると契約書類が逸散していることや点検契約漏れ、保証期間の期限切れなどが明確になります。これらをきちんとするだけでも無駄が減ることが少なくありません。

 その後、資産価値を確認しながら、追加購入や廃棄処分などを計画し、実施することで資産を有効活用することができます。

 「でも、どんな項目を管理していいのかわからない」「管理といわれてもピンとこないし・・・」といわれる方もいると思います。ここからがITの出番です。

 まずは、検索サイトで「資産管理台帳 テンプレート」で検索してください。様々な帳票を入手することができます。そのまま使ってもいいですが、できれば、いくつかの帳票を見比べながら自社に必要な項目に絞り込みましょう。1枚1資産のもの、1枚で複数資産の一覧表のものなどいろいろな帳票を見ることで管理項目や管理方法のアイデアを入手することができます。次に項目を自社で使えるのに一覧表にしましょう。表計算ソフトでつくるといいと思います。

 もちろん、市販されている資産管理ソフト、サービスなどを活用することで、簡単にかつ記載漏れなくまとめることができます。しかし、ほとんどの場合は有料です。まずは調査ですから、表計算ソフト等で一覧表を作成するぐらいから始めることをおすすめします。

 表計算ソフトで一覧表にするだけでも結構大変ですし、一覧にすることで抜け落ちている項目がひとめでわかります。また、関数や条件付き書式を活用することで定期点検忘れやリース期限切れなどを一目で確認することも容易です。

 対象とする資産でおすすめは、IT機器です。特にプリンターや共有サーバーなど個々人で管理していないものをまとめるのが一番最初にやるべきことでしょう。なぜなら、個々人が使っているものはその所有者がそれなりに情報を持っていますが、共有資産には意外と情報がないからです。また、共有資産は消耗品管理や維持管理などがつきものなので、まとめるにはうってつけです。IT機器を題材にするのは廃棄、購入のサイクルが比較的短いために計画策定をしやすいからです。また、10万円以下のものは固定資産台帳にものらないために管理をおろそかにしがちです。それらを中心に管理をはじめ、パソコンや事務機器、機械設備と徐々に広げていくようにしましょう。

 建設物と同様、適切な管理と費用対効果を考慮した計画・実施が企業の「モノ」でも大切なのです。

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