IT化とOA化

「IT化とOA化は、どう違うの」
「IT化って言ってるけどOA化と一緒だろ」
 よくこのような質問を受けますが、私の考えでは、大きな違いがあるといえます。今日はこのお話です。

(1)OA化とは

 OAは、Office Automationの略で、直訳すると「事務所の自動化」です。類似表現として、以下のようなものがあります。

 ・FA(Factory Automation)工場の自動化
 ・HA(Home Automation)家庭の自動化
 
これらの意味するところはつまり、それぞれの場所で行われる手作業を機械で効率的に行うことなのです。OA化の初期段階の例としては、

 手書きによる清書 → ワープロ専用機による清書
 手書きによる複写 → コピー機による複写
 宛名を書いて郵送 → FAXで送信

などが挙げられます。また、大型コンピュータによる経理システムや帳票システム等も、実はOA化です。つまり、従来手書きでやっていたことを、パソコンなどの情報機器を用いて自動的(機械的)に処理するのは、OA化に過ぎません。まとめると

OA化・・・事務作業の効率化、省力化、機械による生産性向上 となります。

(2)IT化とは

 ITは、Infomation Technology の略で、直訳すると「情報技術」です。こちらは捉え方によって幅が大
きく変わります。私なりの理解では、
 
IT化・・・情報技術をもちいる業務改善・業務改革 です。例えば、

 店頭販売   → インターネットによるオンライン販売
 電話連絡   → メールによる連絡
 紙による回覧 → グループウェアによる回覧

上記のように、従来とは全く異なる業務体系を構築することが可能です。
 地方にある小さなカメラ屋さんが、オンラインショップで日本一の売上げをあげたとかいうのは、今まで自社の商圏と考えていたエリアが町の一部から日本全体・世界全体にまで広がり、大きな業務改革になったということです。また、電話では相手が留守だと話せなかったのが、メールならば不在時でも正確に用件を伝えることができます。相手の都合に拘束されず、また、一斉に通知することで省力化できるという小さな業務改善です。このように、「IT化」は幅が広いのです。

(3)真のIT化とは   

 もう一つ、IT化で重要なのは、インターネット技術や携帯、パソコン等の情報機器の性能向上によって、報共有が容易になることです。

 OA化が、与えられた情報を自動的に処理して次に渡すものとするならば、IT化は情報を共有して新たな情報を生み出すものという捉え方もできます。例えば、

 商品情報サイトによって価格の比較やサービス格差を知る
 交通情報サイトによって目的への複数のルートを見つける
 グループウェアの自社情報で新たな商品開発のヒントを得る

などが、IT化による情報共有によってもたらされます。

 建設業でも、電子入札や電子納品が進められていますが、これだけではOA化に過ぎないと思います。またメールも、電話連絡の代用としてのみ使用しているのであれば、OA化です。

 電子納品の情報(施工計画書、施工記録の電子データ等)を共有して次業務の効率化を図るだけでなく、技術の伝承による従業員のレベルアップ、安全性や利益率UPといった波及効果をも得ることが、IT化ではないでしょうか。
 そのためには、共有ルールや展開方法など、電子納品とは直接関係ないものまできちんと整備しておく必要があります。ここが、目の前の業務だけを効率化すればよいOA化とは違うのです。仕事のやり方まで変えてしまうのがIT化なのです

 そうはいっても、IT化はなかなか難しいものです。なぜなら、OA化に比べて効果が目に見えるものばかりではないからです。 私も、みなさんといっしょに形あるIT化とは何か考え、提案していきたいと思います。