「見える化」の進め方(その3)

 前回、「見える化」進行の2つ目のステップとして、現状と問題の細分化・分類のお話をしました。(「属人化の排除」を目的とした例で話を進めています)前回までで得られた結果は、

 ・現状の業務の一般部分と特殊部分の区分け
 ・課題の分類によるグループ化

の2点です。今日は、次のステップです。

3.目標とスケジュールの設定

 さて、業務の流れの中で注目すべき特殊な部分がわかり、それらを含めた課題もいくつかのグループに分かれて見えてきました。次に、これらの課題を解決することで得られる目標を設定しましょう。

 「えっ、目標!?対策ではないのか?」

そういわれる方もおありでしょうが、それは違います。いきなり対策を立てるということは、個別最適になりやすいうえに、個々の対策後の目標が統一されておらず、結果的に一番低い目標にすり寄ってしまいます。しかし、これを忘れて個々の課題に対しての対策を立ててしまい、応急処置的なものに終わってしまう事例が少なくありません。また、このような場合、新たな問題が発生してしまうことも多いのです。よって、短絡的な対策は立てるべきではありません

 では、具体的にどうするか。まずは、グループ化したそれぞれの課題に対して、あるべき姿になる目標を設定します。解決した後のイメージですから、課題の裏返しのようなものですが、これを書き出していきます。それぞれのあるべき姿が書き出せたら、次に、これらをひとつのあるべき姿にまとめていきます

 まとめる際に重要なのが、前回にもお話しした「ひと、もの、かね」の視点やバランススコアカードの「財務、顧客、業務、教育」の視点、「体制、能力、権限」の視点などいくつかの視点です。グループ化の際にこれらの視点を利用しましたが、あるべき姿だけを考えていると、この視点から外れることがあります。
 改めて、この視点から検討することで、あるべき姿の全体像が欠けていないか、重複していないかを確かめてください。

 さて、ここで目標を描くために、もうひとつ重要なのが期限です。1か月後に実現するのか、半年後に実現するのかで、目標は変わってくるでしょう。大きな目的は「属人化の排除」ですから、できるだけ多くの人が携われるように業務の「見える化」を図るべきですが、迅速に行いたい場合もあります。ならば、その業務に関する知識を有する人を対象にし、そこに絞った形で目標設定を行うことで、実現に必要な期限を短くする。そのような考え方もあるということです。

 目標が決まったら、スケジュールの設定です。これは対策の話と並行でもよいのですが、期限を少し先にできるならば、中間目標を設定することもあります。スケジュールを設定し、目標(=あるべき姿)をいつごろ、どの程度実現するかを、それぞれの目標との関係を意識しながら設定します。

 対策の優先順位に関しては、調整が必要な場合もありますが、実現する目標が複数ある場合は、このスケジュールによる時系列的な把握が非常に重要です。これを怠ると、無駄な手間ばかりかかりますので、ご注意ください。

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