データのバックアップ

 みなさん、パソコンデータのバックアップされていますか?たぶん、意外と多くの方がやられていないと思います。しかし、私のところに相談に来るトラブルの中では一番多いのがこのバックアップをしていなかったためにデータを損失したというものです。

 削除した直後や読み取り不可になった直後であれば、修復できるソフトがあります。しかし、そのあと、ほっといてしばらく間のパソコンを使うとせっかくの修復確率は確実に減ります。起きてしまったらすかさず専門家に相談しましょう。

 そうはいっても、専門家に依頼するとかなりの金額を請求されます。その金額を考えるとバックアップ装置の導入や仕組みづくりのほうがずっと安いです。しかし、初心者にはなかなかハードルが高いのも事実です。そこで、今までの経験を踏まえて、気をつけてほしい点を何回かに分けてお話します。

1.ネットワーク型ハードディスクを利用するときの注意

 最近はネットワーク型ハードディスクいわゆるNASが普及してきています。家庭にパソコンが複数台になってきて、デジタルカメラの写真や動画データの共有をしたい希望が増えてきたことによるものです。そのため、少し前に比べるとかなり低価格で導入できるようになりました。自分のパソコンのデータをバックアップするの
に使っている方も多いのではないでしょうか。実際、このようなNASには簡易なバックアップソフトがついており、かなり手軽にバックアップができます。また、CD?RやDVD?Rなどと違い、大容量ですので容量を気にせずバックアップが取れるのも魅力的です。今一番使いやすいバックアップ装置だと思います。

 最近はさらに普通の外付けハードディスクと違い、ミラーリングとよばれる2つのハードディスクに同時書き込みが出来る機能やさらに障害に強い高度な管理ができる機能がついているものが増えてきています。メーカーのうたい文句も「ひとつが壊れても安心」とか少し高価なタイプだと「壊れた部分を動かしたままで簡単に入れ
替え可能」といったことが書かれています。ますます頼りになる存在ですね。

 しかし、このうたい文句には注意が必要です。よく調べると壊れた後に修復するのはメーカーしかできなかったり、交換するハードディスクは指定のものしか交換できないなどの制約で高価なものになることがあります。もちろん、交換することで無事に稼動するのですから単体のハードディスクより安心度はずっと高いです。大切
なのはそのような費用も掛かることをちゃんと理解しておくということです。特に大事なデータを保存している場合であれば、予備の交換ハードディスクをあらかじめ購入しておくことも大切です。

 さらに、ハードディスクではなく、基盤と呼ばれる本体部分や電源装置、ファンなどの冷却装置が壊れたらそこでおしまいです。現場の場合、不安定な電源供給で動かしたり、暑いところやほこりが多いところで作業しますので、ハードディスクが壊れるより先にその他の部分が壊れることは少なくありません。つまり、ほこりや暑
さの少ない場所に保管し、無停電装置など安定電源を供給させる仕組みを準備することも大事だということです。NASの安全性を高めるにはさらにそこに外付けのハードディスクをつけて、中身をバックアップする仕組みを入れることも検討してください。

 「壊れてもハードディスクが無事なら、中身のデータを取り出すのは簡単じゃないの」と思われるかもしれませんが、安価なネットワーク型ハードディスクの場合は中身がWindows パソコンで見れる形式で保存されておらずLinux 環境を準備しないと取り出すことができないことが多いです。幸い、CDやDVD から起動できるLinux のLiveCDを使うことでLinux 専用パソコンを用意することなく作業が出来ますが、初心者には難しい作業であることに変わりありません。また、普通の方は持っていない内蔵ハードディスクをUSBドライブに変換するアダプタが必要となります。

 最後にネットワーク型ハードディスクのゴミ箱機能に対しての注意事項です。バックアップだけに使う場合は問題ありませんが、データ共有にもNASを使う場合、最近付いているゴミ箱機能はとても大切です。これは大事なファイルを誰かが間違って削除してもゴミ箱というフォルダに移動するだけでそこから取り出せれば復活で
きる機能です。Windows の内蔵ドライブでは当たり前の機能もちょっと前まではNASについておらず、NASで間違って削除した場合は泣く泣くあきらめていたという時期がありました。今では標準機能に近い状態でつくようになり、大変ありがたいのですが、ちょっとした落とし穴があります。

 ゴミ箱には普通に削除しても移動します。そして、ファイルをNAS内で移動する場合も実際は(コピーと削除)をしていると解釈されゴミ箱に保存される場合があります。そのため、想像以上にゴミ箱の容量が増えていくのです。使っているファイルはそんなにでもないのにゴミ箱の容量がとても大きくなったためにハードディスクが満杯になったということがあります。満杯なると突然動かなくなるなり、上記の復旧でも難しいことがあります。そのような事態にならないよう定期的にゴミ箱の中をのぞいて、本当に不要なファイルは消すことを忘れないでください。

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