ITシステムのQCDSE

今回はITシステムの管理を建設業の管理の視点で見てみたらどうなるかをちょっとお話しします。

建設業の管理はみなさんご存知のようにQCDSEです。つまり、

Q(Quality):品質
C(Cost):費用
D(Delivery):工期
S(Safety):安全
E(Environment):環境

ですね。5つは向上させると相乗効果があるものもありますが、両立しにくいものもあります。単純な工期短縮・品質向上は費用増大とか、安全設備の充実は工期延長とかいった具合です。

しかし、これに技術力やアイデアを入れることで工期短縮と費用削減を両立させたり、現場環境の向上が安全向上につながり、結果として品質向上につながるようです。

ITシステムでもQCDは意味はほぼ同じですが、SEは少し違います。そのあたりを個別にお話しします。

(1) Q:品質
ITシステムに不具合がないとか拡張性が高いとか保守性がたかいとかいった項目があります。ソフトウェア品質はいろいろな指標があり、他の管理項目と重複することもあるので、詳細は割愛しますが、「問題なく機能が適切なタイミングで使える」といった感じだと思います。

(2) C:費用
建設業でもそうですが、ITシステムも開発費用と運用費用(いわゆる維持管理費)があります。開発費用を抑えたせいで運用費用が余分にかかったり、クラウドサービスで月額が低いと喜んでいたら、5年もたつと大きな金額となっていて自社開発と差異がなかったということもあります。費用は開発だけではないと意識しましょう。

(3) D:納期
建設業では工期いわゆる竣工までの期間管理が主体となりますが、ITシステムでは開発期間と利用期間の2つが大切です。建設業でも瑕疵期間と呼ばれるもしも不具合が起きた時に無償で対応する可能性がある期間やその建設物の維持管理もありますが、期間が長すぎることや管理主体が異なることからあまりお話しはでてきません。

それに対してITシステムは利用期間に小規模な改良が加えられることが少なくないため、この期間も納期管理が必要になってきます。ユーザー視点でみるとシステムの寿命管理も必要です。システムそのものだけでなく、OSやミドルウェア(データベース等)の寿命いわゆるアップデートも重要です。

(4) S:セキュリティ、サービス
建設業では安全ですが、ITシステムはセキュリティとサービスですね。セキュリティは保安という意味ももつので建設業と同じ安全でもいいとは思いますが、サービスという視点はITシステムならではです。

もちろん、一般的なシステムに対するコンピューターセキュリティだけでなく、クラウドであれば、ネットワークセキュリティも重要です。建設業でいえば、搬入路の安全確保といったところで、あまり気にすることはないと思いますが、ITシステムではとても大切な部分です。

サービスは品質とかぶる部分もありますが、ITシステムのメインでもあります。特にクラウドはシステムが目に見える形(サーバー)ではないので、サービスという視点は必要になります。

(5) E:システム環境
建設業では自然環境や周辺環境・住民への影響に対する管理ですが、ITシステムではシステムを構築する環境いわゆるハードウェアやネットワークといった部分の管理です。

建設物と違い、短いと数年で更新が必要なものも出てくるので、管理は不可欠です。メモリの増設といった部分的な拡張もありますし、クラウドならば、本体の増強も設定画面で簡単にできるため、閑散期と繁忙期でシステム環境を切り替えるといったことも必要になってきます。

建設業界とIT業界はプロジェクト型であり、請負形態であるため似ているところがたくさんあります。他の業界よりずっとITシステムが理解しやすい業界だと思います。

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