今回は、最近ご相談が増えてきたDXに関する国の施策についてお話しします。
すっかり、DXという言葉も定着してきました。DXとはデジタルトランスフォーメーションの略で、デジタル技術を利活用して、ビジネスモデルや業務プロセス、組織文化そのものを変革し、競争優位性を確立することを目指すものです。
基本は、会社全体を大きく変えることですが、営業DXとか、現場DXといった部門レベルになったり、新しいITツールの導入だけでDXといったりと定義はかなりバラバラな感があります。
国内と海外でも差があるように感じます。そこで、今回は国内のDXのひとつの考え方として、国の施策を知ってもらうことで、自社の軸を作っていただければと思います。
経済産業省のDX
まずは、経済産業省のDXです。デジタルガバナンス・コードという企業のDXに対する経営者の求められる対応をまとめたものがあります。現在は3.0(24年6月)になっており、DXを自社に取込むための基本的な考え方が学べます。
簡易版として、中堅・中小企業等向けDX推進の手引きというものも発行されており、事例紹介も掲載されているのでイメージはつかみやすいと思います。
その続きとしては、DX推進指標があります。DXを進めるにあたって、現状がどの位置にいて、次に何をしたらいいのかの指標を経営的な指標とITシステム利活用の指標の2軸で複数の視点からの評価ができるようになっています。
キークエスチョンは経営者、サブクエスチョンは部門クラスが回答し、関係者を巻き込みながら、自社のレベルを共有するといった流れになっています。レベルは未着手から、グローバル市場におけるデジタル企業という6段階で評価できるようになっています。
そこで、ある程度DX推進の準備ができてきたと判断するとDX認定制度の申請に進みます。DX認定は取ったら終わりではなく、2年ごとに更新申請もあるので、常に意識している必要があります。
DX自体が変革であるように、世の中が変わり続けている以上、自社も変わり続けていく必要があるということです。さらに上を目指すので会えば、中小企業はDX Selection、大企業はDX銘柄というDXの優良企業の表彰制度があります。
ここまで行く必要はないと思いますが、DX推進指標ぐらいは自社で行ってみて、自社のレベル感を把握することはDXを進めるにしてもIT利活用促進にしても役に立つと思います。
国土交通省のDX
次は、国土交通省のDXです。ひとつは国土交通省自身のDXです。行政サービスのデジタル化やデータ活用、オープンイノベーションといった形で今後取り組むDXについて記載しています。
さらに、建築・都市のDXとして、建築確認のオンライン化やBIMの推進、不動産IDやオープンデータの整備といった内容で2028年までの予定が示されています。
物流DXは2025年度が最終年度で次年度から2030年度に向けた総合物流施策大綱が検討されており、年内にはさらなる機械化、デジタル化の姿が形になってくると思います。
デジタル庁、総務省の自治体DX
あとは、デジタル庁のデジタル社会推進会議幹事会です。まとまった資料はないですが、政府がどのようにデジタル化を推進していくかの検討内容を見ることができます。
内容は政府のデジタル化であり、少し規模感の大きなものが多いですが、参考になる点もあると思います。
規模を小さくした地方自治体規模であれば、総務省の自治体DXにもヒントになることが載っています。特にデジタルデバイド対策といったところはIT苦手の人たちに対する考慮を意識できるヒントが書かれています。
固い言葉が多いですが、お時間があるときに見ていただけると自社のDXの参考になると思います。