昨年話題になった言葉で、Web2.0というのがあります。これは、特定の規格や標準をさしているのではなく、従来にない新しい形のインターネット上のサービスや動きの総称です。代表的な例をあげるてみましょう。
1.Amazonレビュー
世界最大のオンライン書店Amazonでは、レビューとして読者の感想を載せることができます。このレビューが本の売れ行きを左右しています。
2.ブログ、SNS
ブログという仕組みによって、従来のホームページよりも簡単に情報発信が可能になりました。結果、より多くの人が世の中に情報発信することになり、従来プロからしか発信していなかった情報が、いたるところから発信されるようになりました。また、SNSというネット上のつながりが新たな商売を生み出したり、「 集合知」という知識の集合体を形成しました。友達の友達はみな友達といったネットワーク効果が加速化し、商品価値や世の中の流れを決める勢いをもつようにもなっています。
3.GoogleMap、YouTube
Ajaxという技術によって、従来より格段に操作性の高いWebサービスを提供できるようになりました。よく取り上げられる例がGoogleMapです。また、高速回線が一般に普及してYouTubeという動画配信サイトが人気を呼び、従来のような静止画であらわせない魅力を提供するようになりました。
上記を例にとり、要点を書き出すと
・ホームページは壁新聞ではなく、検索システムとの組み合わせで様々な情報を発信するサービスになりました。
・ブログなどのツールで今までにない人が発信源になっています。
・1人のプロより100人の素人の発言が価値を持ち始めています。(販売者ではなく購入者が商品価値を決める)
また、携帯電話の高機能化もWeb2.0を普及させた要因です。
では、Web2.0は建設業にどのような影響を与えるのでしょうか。
ひとつは、周辺住民やユーザー(建物なら購入者、道路等なら利用者)の言葉が今まで以上に重みを増してくるということです。ネット上での発言が容易になり、かつ、注目されますから、その言葉の量や内容によっては、企業生命を脅かすことにもなるでしょう。また、従来では手に入りにく かった専門知識や業界情報が入手しやすくなり、周辺住民やユーザーがより力を持つようになります。中途半端な知識では対抗できなくなり、法令順守をより厳しく求められるでしょう。
もうひとつは、情報共有による仕事の効率化やミスの低減、コス削減など、情報を生かした企業が生き残るいっぽう、情報を生かしきれない企業は衰退していくということです。情報入手が容易になれば、新技術をいち早く利用できます。情報共有を促進すれば、一度犯したミスは二度と起こさぬように、うまくいったことは展開してどの現場でも実践できるようになりますから、より安全・より高品質で低コストな設計・工事が行えます。
従来型のホームページやインターネット環境は、専門知識が必要であったり仕組みが難解だったりしましたが、Web2.0時代では、簡単でかつリアルタイムに情報の受発信が可能になったのです。
中小建設業でも、特殊工法や新技術があれば全国展開が可能となるいっぽう、大手建設業でも特徴がなければ吸収合併もありうる・・そんな時代が到来しています。出遅れないようにがんばりましょう。