電子納品と写真管理(着工時)

 前回に引き続き、電子納品支援を数回行うにあたり、いくつかの問題点にあたりました。その際に行った対策について、お困りの方がいるのではないかと思い、お話をします。

 今回は写真管理の着工時編です。

 多くの電子納品で一番、竣工時のまとめに時間がかかるのがこの写真管理です。とりあえず、撮っておこう、あとで整理すれば何とかなるといって苦労しているのが実情です。

 もちろん、着工時に用意周到に準備しておき、撮影完了時にほんの一工夫すれば、竣工時に困ることが少ないのですがそれがなかなかできていないようです。困らないようにするためのポイントをいくつか紹介します。

1.仕様書の読み込み

 前回お話しした事前協議で確認した基準をできるだけ隅から隅まで読みましょう。電子納品用の基準と写真管理の基準が別だてになっている発注者もあります。また、多くの発注者は電子媒体で仕様書を提供していますが、特定の出版社で購入させているところも残っています。できるだけ早く入手し、読み込みましょう。特に読み込んでほしいのは以下の3点です。

(1) 画素数とファイルサイズ
 3年ほど前の「G092 デジタル写真管理の注意点」でも説明しましたが最低画素数、最低ファイルサイズだけでなく、上限値が決まっている場合もあります。仕様書を読み込むだけでなく、担当者に確認しておくことが望ましいです。デジタルカメラによっては低い画素数の撮影ができないものもあります。適切なサイズが撮影できるカメラを用意するためにも必ず最初に確認しましょう。

(2) 工種名
 多くの仕様書は一般的な工種名しか掲載されていません。そのため複数の工法を行う杭工事やPC工事など工事としてはさはど特殊ではないものの一覧表に掲載されていない場合があります。その際多くの基準は新しい工種の追加方法が記載されていますが、電子納品のチェックシステムが対応していないというお粗末な事態が残念ながらまだ残っています。

 結果として、工種は既存工種のいずれかにあわせたのち、備考欄等に新しい工種を記載するというような対応を取らざるを得ないこともあります。このようなケースは担当者レベルではとてもわからず、電子納品の最終管理部署やチェックシステム担当部署に確認しなくてはいけないことが多いです。

 回避方法としては、できるだけ最初から既存工種で分類してよいように担当者と打ち合わせしておくか、あとで管理ファイルであるXMLを一気に置き換えるプログラム(エクセルのマクロでも可能)を用意するかです。私の場合は後者のケースが多いですが、前者で対応できればそれに越したことはありません。入札時もしくは契約時にもらった工種一覧と仕様書を見比べて、リスト作成をすることをお勧めします。理想を言うと担当者と決めた工種を写真管理システムに着工時に事前にすべて登録しておくとあとが楽になります。

(3) 撮影回数

 仕様書にはどのタイミングでどのような写真(品質管理、安全管理、出来形管理等)を取るべきか明記してあります。しかし、そのタイミングを確認せずに無駄な写真を撮影していることが多くあります。また、逆に撮り忘れて問題になっているときもあります。工種名と同様、着工時にどのタイミングでどの写真を何枚撮るかを決めておき一覧表にすることをお勧めします。

2.デジタルカメラの準備

 前述したように仕様書で確認した画素数、ファイルサイズがとれることはもちろんですが、雑誌掲載や工事看板用に高解像度の写真がとれるものも必要な場合があります。デジタルカメラの切り替えられる画素数を事前に確認したうえで、電子納品用、高解像度撮影用と現場職員に周知するようにしましょう。

 また、これも以前に話しましたが初めてカメラを使うときに日付設定を忘れて、工事期間内の写真でないと判定され電子納品でエラーになることがあります。必ず日付設定は忘れずに行いましょう。

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