電子納品と写真管理(工事中)

 前回に引き続き、電子納品を行うにあたってのポイントをお話します。

 今回は写真管理の工事中編です。

 着工時に基本的な準備として

仕様書の読み込みによる
・画素数・ファイルサイズ
・工種名
・撮影箇所、回数
とそれに見合ったカメラの準備、日付の初期設定

についてお話ししました。

 工事中は上記の準備のうち、3番目の撮影箇所、回数に従い、撮影をすすめていけば、基本的に問題は発生しません。しかし、一工夫することで竣工時の作業が楽になることがあります。3つのポイントをお話しします。

1.小黒板の正しい使用

 通常、写真の意図や測定情報を書いた小黒板を撮影時に使用します。夕方や逆光等の光の条件や解像度の関係で拡大しても字が読めない場合は別途管理ファイルに記載すればいいと基準に書かれています。しかし、あとから管理ファイルに追記するのは意外と大変です。できるだけきちんと写るように意識することが大切です。

 きちんと写るための最大のポイントは黒板の位置です。

 経験年数の浅い監督はついつい被写体の近くに黒板を持っていきがちです。被写体である構造物や状況に気を取られて、黒板のことを忘れがちです。特に電子納品になってから、あとから管理ファイルに書けばいいと思っている方も少なくないようで、余計に軽視されているようです。この考えが竣工時に自分を苦しめるので絶対にやめましょう。

 ミスが多い例として被写体が大きいと黒板が小さくなっていることがありますが、黒板を置いてから被写体との距離を調整するから起きることです。

 黒板の位置はカメラつまり撮影者との距離が基準です。表記している文字サイズによりけりですが2,3mぐらいが目安となります。まず被写体がカメラに収まる距離を確認後、撮影位置を決め、その後、黒板の位置を決めるという手順になります。状況によっては作業員さんとの協力が不可欠になることを忘れないでください。

 施工状況写真などは黒板を使わずに撮影しているものも見かけることがありますが、本来望ましいことではないうえに、あとで整理の時に困るので、必ず入れるようにしましょう。ただし、品質管理や出来形管理にくらべて必要情報が少ないので、より小さい黒板を用意することをおすすめします。撮影時の被写体が隠れる部分が減る、持ち運びが楽などのメリットがあります。予算に余裕がある場合、ぜひ検討してください。

2.遠景と近景のセット撮影

 デジタルカメラはフィルムカメラと違い、撮影コストがほとんどかかりません。最低でも遠景と近景を1枚ずつ撮ることをおすすめします。また、アングルを変えて撮影することも心がけましょう。

 遠景を撮影すると思わぬものが写ることもありますが、それが時によって、設計変更の重要な証拠になる場合もあります。カメラのファインダーや撮影用モニターをのぞいているとついつい視野が狭くなります。撮影時に目的+アルファの視点をもつようにしましょう。

3.提出用と一時記録用の分類

 写真はできるだけ撮影後すぐにカメラから取り出し、整理することはフィルム時代から変わっていません。業務に追われてなかなかできていないことも少なくないですが、最低限やってほしいことがあります。

 それは最終的に納品対象になるものと一時的な記録、社内用などを意識して分類しておくことです。これだけでも竣工時に格段に楽になります。デジタルカメラは気軽に撮影できるため、つい余計な写真を撮りがちです。そのこと自体は問題ないのですが、整理を忘れると電子納品に監督のスナップ写真や自分の勉強用として撮影した管理上不要なものが入ることになります。

 検査時に恥ずかしい思いをしないですむよう、撮影後最低これだけは行うようにしましょう。

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