作業手順書のチェックポイント(その3)

 今回も前回に引き続き作業手順書のチェックポイントについてお話しします。

 今回は少し視点を変えて、見る側の立場でのチェックポイントをみていきます。

(8) 現場に即したものにする

 当たり前のことのように感じますが、一番できていないのが、この現場に即した作業手順書です。本社や安全関連部署もしくは元請が作った作業手順書をそのまま何の修正もなく使っていることが多いです。仕事の効率やコストの話をするときにはすぐに「現場ごとに微妙な違いがあるから簡単ではない」という人たちがこと作業手順書となるとスルーで標準的なものをそのまま使用しているのは作業手順書が軽視されている感が否めません。

 少しのことかもしれませんが、作業場所の狭さや搬入通路の長さや周辺作業との上下関係など同じ現場はないはずです。それらを必ず手順書に反映させてください。全部を書き直すのではありません。ワンポイント、ツーポイントぐらいの修正でいいのです。それでも、見る側の人の意識は確実に変わります。

(9) 見やすい

 こちらもなかなか簡単そうでできないです。イラストや図表など入れられるといいですが、センスを求められる気がしてつい入れないまま使っていることが多いです。棒人間でちょっとした流れを書くだけでもかなり印象は変わるのですが、「俺には絵心がないからな」といってしますことも少なくないと思います。

 では、手軽にできる方法はなんでしょうか。やはり、波線や雲マーク、蛍光ペンなどで大事なところを囲んだりして、手順書内にメリハリをつけることです。少し慣れてきたら、短文の箇条書きで要点を覚えやすくしたり、吹き出しで補足を入れるのもいいです。

 見やすさは図表だけではなく、覚えておいてほしい大事なところを目立たせることもひとつだと意識してください。

 一番いいのは作業状況の写真を入れることです。撮影時には活かせませんが次の同一作業のために、撮影することをおすすめします。

(10) 法違反がない

 これは結構難しいです。できれば、安全スタッフや労働安全コンサルタントに相談できればいいのですが、いない場合は労基署などに相談するのも一つの手です。もちろん、安衛法や安衛則などを端から端まで読み込んで、独学でやるのもありですが、いろいろな本も出ているので図書館等で借りるのもいいです。

 大切なのは、漠然と危険と書かれていることと法律違反だと書かれているのでは見る側の感じ方が大きく変わるということです。気づいたところからでもいいので法律だとわかるところは明記してください。

(11) 過去の事故等を反映している

 事故はないにこしたことはないですが、起きてしまったら事故の再発防止は絶対に行うべきであり、必ず手順書に反映しましょう。できれば、事故内容をまとめたものを手順書とセットにすることで手順を順守しないとこんな悲劇が起きると知ってもらえるといいのですが資料がないことが多いです。その場合でも、作業手順書の該当手順の横にでも事故発生と書き込んでおくだけでも見る人には刺激になると思います。

 事故がなくてもヒヤリハットが皆無な作業というのはあまりないと思います。ヒヤリハットを感じたことがあるかどうかをあらかじめ作業員に聞いて、記号や雲マークで印をつけるのもいいと思います。

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