作業手順書の進め方(その5)

 前回に引き続き作業手順書の作成の進め方についてお話しします。

 今回は、いよいよ実際の作業手順書の書き方についてです。初めて作成する作業での書き方をお話しします。

(1) 情報収集

 まずは情報収集です。既に作業自体が行われている場合は経験者からのヒヤリングが最初になります。作業自体が複雑だったり、特殊だったりする場合は、実際の作業を写真やビデオ撮影することも有効です。写真は作業手順書に挿入するときも使えますし、ビデオ撮影は文章や写真だけでは表現しにくい機械操作や人の動きなどを繰り返し見ることができます。

(2) 単位作業の書き出し

 次に収集した情報を元に単位作業を書き出します。パソコン等で記載する場合はそのまま書き出してもいいですが、手書きで行う場合は付箋にひとつずつの作業を記載して、紙やホワイトボード等に貼り付けて、並び替えや挿入を行いやすくしましょう。

 複数人で作業する場合ならば、パソコンならプロジェクター、手書きならホワイトボードを準備してから行うようにしましょう。少人数であれば一つの画面をのぞきこんだり、A3サイズぐらいの紙に貼り付けながらでもいいかもしれません。

 書き出す際に例外的な作業や条件付き作業などが出てくることもあると思いますが、書き出すことを優先しましょう。次のステップで整理しますので気にしないでください。ただし、できるだけ、細かく書くことは心がけてください。工場のように一挙手ずつ書くこともないですが、書いた単位作業内で場所が移動する、人数が変わる、複数の動作がある、時間的な区切り(間)ができる、途中で確認作業が含まれているような場合はその変化点で単位作業を分割してください。

 最初はなかなか書き出せないので、できるだけ複数人で同じ作業を書き出しあい、比べることで内容を詰めていくことをおすすめします。

(3) 単位作業の順番決めと全体バランス確認

 単位作業がある程度書き出されたら、順番を決めていきます。この際に例外的な作業や条件付き作業はいったん外してください。基本的な作業の流れを固めてからでないと全体像が見えにくくなるからです。

 一通り並び終わったら、単位作業のバランスを確認してください。ほとんどの作業が一時間や30分単位なのに一部だけ3時間といった時間単位が違うものや同じような作業なのに細かい部分と粗い部分があるといった内容を全体バランスを確認しながら修正を行ってください。

(4) 例外処理、条件処理の追加

 作業手順や作業標準なので、あまり例外処理はいれることはありませんが、注意事項として入れておいたほうがいい場合や例外と言いつつ、頻度がそれなりにある場合はその理由も明記して例外処理をいれます。

 また、条件分岐で作業が異なる場合はその条件を明示したうえで分岐作業をそれぞれ記載します。例えば、U字溝設置作業の場合、一定の大きさ以上になると手作業が機械作業になったり、吊金具や人数などが変わってきます。作業の多くが異なる場合は別の作業手順書として作成することが望ましいですが、最初のうちは条件分岐で併記するほうが便利です。条件を明示することでムリのない作業ができるようにしましょう。もちろん、条件による工具等が異なる場合は最初の使用器具のところにも条件を記載するようにしましょう。

(5) シミュレーションもしくは実作業による確認・修正

 手順書案ができた段階で、作成者以外の方に手順書を確認してもらいます。頭や簡単な絵図で確認できる場合はシミュレーションしてもらえばいいですが、精度を高めるためには実作業を手順書通りに行ってもらい、つじつまが合わないところや漏れがないかを確認してもらいます。

 2,3回確認と修正を繰り返して、ほぼ問題なくなれば完成ということになります。

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