情報共有が失敗する理由

 会社の情報共有が重要だといわれて久しいですが、なかなかうまくいっているという話は聞きません。むしろ、グループウェアやナレッジマネージメントソフトを入れたのにちっとも成果が出ないと嘆いている方が多いです。なぜでしょう。

 いろいろな問題点がありますが、以下の5点に集約されると思います。

1.情報共有が会社風土になじまない。

 まず、成果主義的なところでは、情報を出すことは自分の成果を下げることになるという思いがあります。

 同様に、縦割り文化が横行している企業でも、部門間交流が無いため、何を出したらいいのかもわからない場合が多いようです。その結果、出す内容が制限され、有益な情報があがらない状態です。

 「言わぬが花」「出る杭は打たれる」的な文化が育っている場合においても、共有はできません。例えば、スケジュールを重要なものだけ入れたあと空白があったとしましょう。その時、「こいつはヒマだな」と思われるなら最初から書かないほうがいいと思うということです。

 悪い情報も、再発防止を目的とすれば、共有する意味があるのですが、そういうものを排除する風土があると、ありきたりのいい情報しか掲載されません。共有効果は、さらに限定的になります。

2.利用しやすい環境になっていない

 情報共有が、業務の中に組み込まれて効率化に貢献できる仕組みがあればいいのですが、新たに作業が増える場合は、熱心に使用する人はほとんどいないでしょう。

 また、社員のIT成熟度に応じて、使いやすいもの・機能限定したものを導入しないと、「使い方が分からない」「多機能すぎて使いづらい」などと、使用しない人が多くなります。

 運用ルールがしっかりしていないと、無駄な情報で溢れ、有益な情報が埋もれてしまうこともあります。

3.情報共有で解決すべき問題点が見えていない

 理想は、経営戦略として、情報共有が位置づけられていれることです。が、少なくとも、情報共有で今解決すべき問題は何が見えていないと、行動は起しにくいでしょう。

 また、経営者自身がシステムさえ入れれば何とかなると思っていたり、経営者自身が「あとはおまかせ」と関与しない場合も、効果が出ません。

 逆に、問題も見えないのに、ただ情報を提供しろでは、共有できるはずがありません。

4.発信側を作り出す仕組みがない

 情報提供のために余計に仕事をする人と、情報授与で利益を得る人とで、ギブアンドテイクできることが大切です。でないと、発信側が少なくなります。理想は相互の情報提供ですが、できない場合は、提供報酬などのインセンティブで提供側へのテイクを肩代わりすることが必要です。また、情報により利益を得た人が、提供した人に感謝し、それが提供側に伝わるような仕組みがなければ、心情的に難しくなっていくでしょう。つまり、提供せずに受けたいばっかり(フリーライダー:ただ乗り)しかいない状況では、情報共有は出来ません。

5.コミュニケーション環境ができていない

 仕組みが比較的出ており、ギブアンドテイクの役割が対称的であっても、一定の割合を超える利用者がいないと、全体効果はあがりません。そのためには、情報共有を積極的に活用するためのコミュニケーションが必要です。情報提供しようとする際、よろこぶ相手の顔が想像できれば、より親身になるでしょう。しかし、どこぞの知らぬ相手に提供するとなると、表面的な情報しか提供せず、価値ある情報共有には程遠いものとなり、結果的に情報共有に効果を見出せないことになるのです。

 

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