会社でのスマホ利活用(その18)

前回に引き続き、会社でのスマホの利活用についてお話します。

前回は、業務日報についてお話しましたが、今回は現場の検査・立会についてお話します。

材料確認、段階確認、品質検査

建設現場において、材料確認、品質検査等は重要な作業です。小規模な民間建築においては省略されることもありますが、規模の大きい民間建築、公共工事はすべて、材料確認、品質検査は仕様が決まっており、記録も必須です。

小規模な民間建築でも進捗確認、公共工事的に言うと段階確認は複数の現場を担当する現場監督や工事課長より上位者、発注者には必要です。

従来であれば、現場に行って、計測機器や検査装置を使って内容を確認しつつ、黒板に必要事項を記入し、立会状況を写真にとり、さらに記録用紙を作成、提出します。

遠隔臨場のメリット、デメリット

新型コロナ禍以降に急速に広まった「遠隔臨場」つまり監督職員や検査員、発注者が現場に来ることなく、Webカメラ等を利用して映像と音声で対応することが増えてきました。これが現場でのスマホ利活用を促進することになりました。

メリットは、確認・検査側の移動時間が不要で、時間調整が容易になりました。タイミングが悪いと工事をそれなりに止めておく必要がありましたが、その時間を最小限にすることができます。お互いの待ち時間が最小限になるのは業務効率化につながります。

また、現場に不慣れな人が現場内に立ち入る必要がなくなるので安全面も向上します。移動時間がない分、複数の現場を確認しやすくなったり、時間の都合さえつけば、複数の関係者がそれぞれの場所から見ることができるので、検査のチェックレベル(漏れがなくなる)も向上します。部外者も参加しやすいので若手社員への勉強にも利用できます。

デメリットとしては、IT機器の準備とビデオ通話をするのであれば、通信機器が必要となりますが、スマホ1台でどちらもカバーできるので、負担感は少ないです。

とはいえ、土木現場において、山の中やトンネルといった通信環境がよくないところは、通信環境がいいところから屋外WiFiを利用したり、衛星通信を利用したりといった環境改善を行う必要があります。ただし、auは2025年から、ドコモとソフトバンクは2026年から衛星通信に対応するとの話なので、この辺りの負担感も減りそうです。

また、通信環境だけでなく、ビデオで見やすくするために、測定値が大きく表示されるデジタル計測器や両手が使えるようにするウェアラブルカメラ(首や安全帯につけるスマホホルダーもあり)やスタビライザー(歩いたり動いたりしたときのブレ防止)といったものも準備する必要があるかもしれません。

欲を言えば、アクションカメラや360℃カメラのような専用カメラとスマホの組合せで行うとよりいいかもしれませんが、この辺りは状況によりけりですね。

なお、公共工事においては、ある程度の費用負担を発注者側で見てもらえるようなので、これを機に設備を整えるタイミングとしてはいいと思います。

小規模民間工事でも使える

小規模民間工事でも完成後隠れてしまう、瑕疵が出やすい、不具合がおきやすい部位や工種については、本社から遠隔で確認できる仕組みを作っておくことは建設物の品質向上、お客様の信頼・安心感向上にもつながります。

あまりいい表現ではないかもしれませんが、見られているとか見られる可能性があるというのは、品質低下の抑止効果としては大きいと思います。

他の業務の都合で作業中の確認ができなくても、確認する業務ルールを作っておき、確認者が未確認の場合は記録として写真をとっておくことは可能です。現場に習慣づけるためにも自社独自の遠隔臨場ルールをつくることをお勧めします。

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