今回から現場管理のレベルアップを何回かに分けてお話をします。全体的な話からスタートです。
現場管理といっても業務内容はとても広いです。基本としては、担当する工事を円滑に進めるために行うべき管理ですが、もう少しかみくだいていうと工期内に所定の品質を確保した建設物を安全にかつできるだけ安くつくり、契約及び法令順守で環境にも地域住民にも優しい工事を行うための管理です。
混ぜてしまうとわかりにくいのでいくつかの管理に分けるとすると一般的には
Q(Quality:品質管理)
C(Cost:原価管理)
D(Delivery:納期管理)
S(Safety:安全管理)
E(Environment:環境管理)
の5つがあります。
5つめの環境管理はその名の通り、地球環境への影響をできるだけ少なくするための管理ですが、一般的には環境マネジメントシステムであるISO14001で定められた管理を行うことをさしていることが多いです。そのため、会社規模や工事規模によってはあまり行っていないところもあると思います。
この5つの管理がメインですが、さらに
N(Neighboring:近隣管理)
O(Owner:発注者(元請)管理)
S(Subcontract:外注(協力業者)管理)
までできると望ましいです。
近隣管理とは地域住民とのコミュニケーションや官公庁への届け出等の現場を円滑に運用するために行う現場外業務の管理です。規模の小さな現場でも工事現場への進入路が狭くて、荷卸しが地域住民に影響を与えたり、通学路のために朝夕の配慮が必要だったり、マンションが近いと夜勤の方を考慮したりと気を付けることはいろいろあります。官公庁等への届け出も地域独自の条例や約束事(周辺住民の現場パトロールや地域環境団体への届け出等)がある場合も少なくないのできちんと管理しておく必要があります。近隣は環境ととらえて環境管理に含めている場合もありますが、今回は、ISO14000の範囲を主として部分を環境管理として、それ以外を近隣管理としています。
発注者管理は発注者との打合せや契約内容の追加変更管理に現場営業(現場で関連工事、次期工事の契約獲得のための活動をおこなうこと)を加えた管理です。お金が伴うものなので原価管理に含めることも多いですが、原価管理のメインは実行予算策定から支払までとして、その上流にあたる現場で行う営業、見積、契約の部分として分けてあります。特に消費税が変わる4月前後の工事においては追加変更管理はとても重要になります。
もちろん、契約そのものは本支店なり、営業所なりの担当部署が行うとは思いますが、正確な情報を把握しているのは現場であり、現場で正確に迅速に担当部署に情報提供ができるかどうかが重要という意味で管理としています。
また、施工期間中の発注者や元請との協議や各種管理書類(竣工図書含む)提出、打合せ簿(もしくは議事録)授受等も発注者管理としています。竣工図書は最近は電子納品が多いため、決して簡単な業務ではなくなっています。
外注管理は協力業者との契約や出来高査定と支払、精算や施工中の打合せ、現場内教育を含めたものです。会社規模によらず、外注依存が高い場合はこの管理でQCDSが左右されるといっても過言ではないでしょう。
上記以外にも規模が大きい現場での要員管理(労務管理)や情報共有を中心としたコミュニケーション管理等もありますが、上記の8つの視点で現場管理をお話ししていこうと思います。