「見える化」の進め方(その6)

 前回、「見える化」の進み方の5つ目のステップとして、管理指標を用いた進捗測定と効果測定のお話をしました。得られた結果は

 ・実行の際の管理指標
 ・指標の測定基準

の2点です。今日は、いよいよ最後のステップです。

6.改善活動の定着

 前回までで対策に立てて実行を行い、それを管理指標を用いて計測できるようになりました。つまり、やっと「PDCA」のうちの「D」と「C」になったのです。段取り八分とはいえ、「P」のステップがなかなか大変でした。

 今回は最後の「A」をやります。実はここもなかなかできていないのが実情なのです。それはなぜかというと2つの理由があります。

 ひとつは、改善活動が定着しないということです。正確に言うと「見える化」するための実行やチェックは行われているのですが、そこで見つけた不備や修正事項を反映しないままになることが多いということです。最初の大きな修正はすぐに反映されることもありますが、2回目からは「まあ、そんなに目くじら立てなくてもいいか」とか「これを修正しても大きな成果にはならないし」とかいった理由でせっかくの改善活動が尻すぼみになっていくからです。

 効果が小さくても今回のテーマである「属人化の排除」が出ていなければ、業務フローを変えてみたり、担当範囲を変更したりすることをやめてはいけません。しかし、この変更には非常に大きな労力、いやむしろ精神力が必要になります。関係者に納得してもらってすすめていかなくてはいけないからです。ここで協力的でない関係者が少なからずいた場合は改善が進めなくなります。

 もう一つは、改善活動を評価しないということです。改善すると決めたのだから、改善活動は当たり前だといった風潮が幹部や経営陣にあると改善に対する意欲は激減します。実際、計画や実施段階までは「激励」をしていた幹部が業務内で活動を始めた途端、関心を失ったかのようにフォローをしなくなります。結果として、改善活動は義務感のように行われるようになり、徐々にその活動が小さくなっていくのです。

 このようなことにならないためにどうするべきか。それは、改善をきちんと評価し、それなりのインセンティブを与えるとともに、関係者に常々、改善の重要性をアピールしていくことが大切です。

 もちろん、アピールもどこぞの本をもってきて説明するのでは今一歩説得力に欠けます。私がおすすめしたいのは、「ガイアの夜明け」や「カンブリア宮殿」などの経済番組です。これらの番組の中には改善や企業活動への情熱に満ち溢れた話がいっぱいあります。また、テレビなのでとてもわかりやすく、かつ刺激的に表現されています。同業種のライバル企業であればベストですが、他業種でも学ぶべきことはたくさんあります。これ以外にも「がっちりマンデー」や「シルシルミシル」など少し俗っぽいですがよりわかりやすい番組もあります。昼間の情報番組でも部分的に活用できるところがあります。これらを定期的に社員に見せることは「百聞は一見にしかず」の効果が得られると思います。また、ときどき感想文を出してもらい、それらを共有してもいいです。感想文によって自社との接点を見いだせるヒントを得ることができるからです。こういう外部からの刺激がとても大切なのです。外部講師を呼べればいいのですがなかなかそういうわけにもいきません。テレビ番組はとても低コストな外部講師だと思います。

 「見える化は一日してならず」です。だからこそ、継続し定着するための創意工夫はかかせません。表彰状やコスト削減のキャッシュバックなども時には必要だと思います。いろいろな組み合わせで社員を刺激していくことが改善活動を定着させるために重要だと思います。

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