バーコード(その5)

前回に引き続き、バーコードについてお話します。

前回は二次元バーコードについてお話しましたが、今回は一番よく知られているQRコードについてお話します。

QRコード

日本で二次元バーコードといえば、QRコードと思われるぐらい、普及していますが、QRコードが1994年にデンソーが開発したものだと知っている方は意外と少ないかもしれません。

デンソーの工場で部品管理するのに8から10列の一次元バーコードを並べて管理していたのでこれを何とかしてほしいという現場の要望から作られたものだということです。開発者が検討したときにアイデアのもとになったのは囲碁。そういえば、似てますよね。まさに日本のバーコードです。

前回紹介した他の二次元バーコードより新しい規格です。JIS規格はX0510です。QRという名称はQuick Responseが由来になっているそうです。上記の背景からすると納得です。

日本ではカメラ付き携帯やスマホが対応したことにより急速な普及が進んだのはいうまでもありません。J-PHONEのJ-SH09が初めての対応機種で、2002年発売ですから、もう20年以上経っています。ちなみにiPhoneはiOS11からなので2017年からです。

漢字も使えるバーコード

発表当初はモデル1という1167桁の数字、漢字なら299文字が扱えるものでしたが、アライメントパターンを内蔵したモデル2を規格して、数字なら7089桁、漢字なら1817文字扱える仕様になりました。漢字が使えるバーコードってスゴイですよね。

もちろん、文字種類は数字・英字・漢字・カナ・ひらがな・記号・バイナリ・ 制御コード等といろいろなものが使えるので、商品名や住所といったものでも問題ありません。システム的には英数字で管理するのがいいですが、人間が視認する分にはわかりやすい名称の方がいいですよね。

文字の容量の決め方(バージョンと誤り補正レベル)

さて、この収納できる文字の容量ですが、バージョンというセル数を決める規格があります。通常バージョンというと版というイメージで、数字が大きくなると新しいものと思うことが多いですが、QRコードでは、サイズを意味します。

バージョンは1から40まであり、セルとよばれる白黒の四角の数が変わります。一番小さい1で、21×21セル、最大の40で177×177セルです。当然、印字サイズも大きくなります。

1セルあたりを5ドット、プリンタの性能が300dpi(1インチ当たり300ドット)とすると1セル辺りが0.423mmになるので、21セルだと8.9mmの四角、177セルだと74.8mmの四角になります。実際はこれに余白(マージン)がいるので、もう少し大きくなります。

利用できる文字数は、誤り補正レベルという読取りミスをカバーする仕組みと使う文字の種類で変わってきます。誤り補正レベルはL,M,Q,Hとあり、段階が大きいほど読取りミスがあっても復元してくれます。段ボールやケースに貼ってかすれるようなものは誤り補正レベルをあげておくと安心です。

先ほどの最大値7089桁は補正レベルが一番小さいLで、一番大きいHだと3057桁まで減ります。一般的には補正レベルMを利用するようなので、5596桁となります。ちなみに漢字だと1435文字入ります。現場や工場だとQやHを選んだ方がいいかもしれません。

とはいえ、8cm近いQRコードはさすがに大きいので現実的な2cm程度とすると、バージョンが6ぐらいで、誤り補正レベルがMとすると数字なら255桁、漢字なら65文字となります。これでも普通の管理では十分な情報量だと思います。

QRコードの仲間

QRコードにはいくつか種類があります。小さいサイズのマイクロQR、セキュリティがかけれるSQRC、コード内に文字や画像が入れることができるフレームQR、さらに横長のrMQRです。

rMQRはrectangle Micro QRの略で長方形小型QRという意味です。2022年に開発されたまだ新しいコードで、横長なので、従来の一次元バーコードの場所に入れやすいです。ほかにもtQR(tはtrainとtoughnessの略)もあり、ホームドアの開閉に使われているものもあるそうです。

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