電子ファイル整理術(その3)

 前回に引き続き、電子ファイルの整理方法についてお話しします。前回は、フォルダやファイルの命名規則でした。フォルダのわかりやすい名前はファイルの分類作業の効率化にもなりますし、何より探すのがとても楽になります。ここまでできれば、まずは共有フォルダをスタートしても問題はありません。次は運用時に出てくる問題として、個人フォルダの取り扱いとバックアップルールについてお話します。

3.個人フォルダと個人パソコンの重要ファイル

 共有フォルダはみんなで共有するものを入れるところです。しかし難しいのは作成途中や検討中のファイルです。できあがってから共有に入れればいいものばかりではなく、途中で複数の人に確認したいファイルもあります。この場合に活躍するのが

・個人フォルダ

です。個人名をつけたフォルダを用意し、一時的なファイルを保存できるようにします。そこで作業をしてもらった後に正式なフォルダに移動もしくはコピーします。こうすれば、途中状態でほかの方が参照したい場合も問題はありません。

 ただし、検討が個人や社内のみであれば問題ないのですが、検討結果を社外に出す場合は再度の問い合わせのために正式な共有フォルダに移す必要があります。また、共有フォルダのファイルをもとに編集する際も必ずコピーを残すようにしないと元に戻せなくなります。ちょっと考えればわかることですが、なかなか徹底できません。特に共有フォルダ内でドラッグアンドドロップをすると移動になってしまうのをあまり意識せずに元データがなくなることは多くあります。

 そのため、個人フォルダといえども、ある程度のルールは決めて使ってもらうようにしましょう。たとえば、正式な共有フォルダと同じ名前に(編集中)とつけてもらうとか、一時編集フォルダなど一目でわかる名前にするルールをつくります。また、一時編集中はファイル名に編集者の名前や日付、編集概要を記入するなど作業経過を確認しやすようにするものもおすすめです。

 エクセルやワードには編集履歴を記録できる機能もありますが、全員が使いこなせない場合もありますので、ファイル名やフォルダ名でわかるようにするのが一番シンプルでわかりやすいと思います。

 個人フォルダにはそれ以外にも、重要な個人ファイルをバックアップするという機能をもたせることができます。個人名のついたフォルダの直下に「Backup」とついたフォルダを作成し、そこに重要なファイルを保存してもらいます。こうすることで、個人パソコンが急に壊れた場合でも業務的に最小限の被害にとどめることができます。

 また、出張等で共有フォルダでなく、自分のパソコン内で作業を進めたい場合なども特定のフォルダで作業を進め、そのフォルダを定期的に共有フォルダと同期を取るようにしておけば、いいのです。

 同期というのは、常に同じ時期に作成した同じ数のファイルを維持しておくことです。共有フォルダで編集したら、自分のパソコンへコピーし、自分のパソコンで編集したら、共有フォルダにコピーをする。そうすることで、一定のタイミングで双方が最新の状態にすることができるのです。

 とはいえ、毎回バックアップや同期を手動でとるのでは大変です。バックアップや同期対象のフォルダを決めてもらい、パソコン起動時に自動的にバックアップや同期を取るようなソフトを導入することをおすすめします。立ち上がりが遅くなるかもしれませんが、もしもの時の代償を考えると大した時間でありません。私も正直なんどか痛い目にあっています。だからこそ、みなさんにはぜひ「転ばぬ先の杖」を持っていて欲しいです。

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