電子納品とXPモード

 ここ最近、電子納品支援を数回行うにあたり、いくつかの問題点にあたりました。その際に行った対策について、お困りの方がいるのではないかと思い、お話をします。
 今回は電子納品とXPモードです。

 先日、Windows8のコンシューマープレビュー版が公開されました。ウェブブラウザーは「Internet Explorer 10(IE10)」になっています。1年以内に製品版も登場すると思います。

 そのような状態の中で、電子納品のチェックシステムはいまだ、Windows XPとInternet Explorer6といった10年近く前の環境でしか動作保障をしないものがあります。

 具体的に言うと電子納品の旗振り役である国交省も一般土木、電気はWindows7対応になっていますが、機械はまだです。NEXCOもまだWindows XPのままです。

 古いパソコンを本社で大事にもっているならばいいでしょうが、現場のパソコンは現場事務所のほこりや湿気で長く持たないことも少なくなく、多くの方はWindows7が入ったパソコンになっているのではないでしょうか。仮にWindows XPが入ったパソコンを所有していてもセキュリティの関係上、Windows Updateによって、ブラウザバージョンが8になっていると思います。このような環境下では動作保障がされないため、わざわざ中古パソコンを買われている方もいらっしゃるようです。

 この問題に対して、私が実際にとった手法は、Windows7 Professional 以上でできるXPモード での電子納品チェックシステムの使用でした。

 XPモードとは、Windows7の中に仮想のパソコン環境を作り、その中にWindows XPを導入するものです。簡単に言うとパソコンの中にもう一つのパソコンを作るをつくるというものです。

 昔から仮想環境をつくるソフトはありましたが、有料であったり無料でも手続きが大変だったり、導入しても思ったような速度が出なかったりと初心者にはハードルの高いものでした。しかし、パソコンの性能が飛躍的に伸びており、マイクロソフトがOSの機能の一つとして提供したことで格段に利用しやすくなりました。

 提供された理由は膨大なWindows XPで動いているソフトをできるだけ修正せずに使用するためです。別の言い方をするとWindows7に移行してもXPModeがあるから既存ソフトも安心して動かせるよ、だから新しいパソコンを買ってねという乗り換え販促の意味が込められているものです。

 ただし、すべてのソフトがOKというわけでありません。周辺機器については仮想環境からの接続になるため、特殊なアクセスをしているようなソフトなどは一部動かないようです。同様に描画関係を特定の仕組みに依存しているゲームソフトなどもダメなようです。

 しかし、今回のような電子納品チェックシステムは特殊なアクセスも描画関係も特別なことをしていませんのでまさにうってつけの環境というわけです。実際にいくつかの電子納品チェックソフトをインストールして、動作確認しましたがどれも無事に稼働しました。

 1つのWindows7ライセンスでWindowsXP も動かせるのはとてもいいことづくめのようですが、注意点がいくつかあります。

・Windowsのエディションとパソコン性能
 市販パソコンの多くはHomeエディションと呼ばれるものです。XPモードのためにはProfessional以上が必要なので状況によっては、アップグレード必要です。1万円前後で用意されています。また、パソコン性能がある程度ないと遅いと感じるかもしれません。特にメインメモリはできるだけ多く搭載することをおすすめします。

・CADソフトなどでの作成
 同じパソコン上なので、CADソフトをXPモードでも入れていいかというと単一OSという制約がライセンス上かかっていることが多いので、だめだと思います。そのため、作成や修正はWindows7上で行ったうえで、チェックのみをXPモードで行うといった形をとります。内蔵ハードディスクは共有できますし、統合機能を使うとコピー・ペーストで、ファイルのやりとりもできますのでそんなに負担なく作業はできると思います。

・ウィルス対策ソフト
 XPモードも標準でインターネットに接続可能です。当然のことながらウィルスに感染する可能性があります。今なら、マイクロソフトが提供するMicrosoft Security Essentialsを導入することをおすすめします。もちろん、無料です。

・Windows Update
 基本的にはセキュリティ関係のアップデートはいいですが、ブラウザだけはあげないようにしてください。そのため、自動的にアップデートするのではなく、通知だけとし、アップデートする内容を確認の上行うようにしてください。

 今回の話は初心者にはハードルの高い内容かもしれません。でも、中古品をどきどきしながら使うよりいいと思います。がんばってみてください。

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