財務管理(その3)

引き続き、財務管理についてお話しします。今回は資金管理いわゆる資金繰りについてお話しします。

財務管理として日々の資金管理はとても重要です。どんなに壮大な経営戦略があっても資金繰りに困っているようでは何もできないからです。支払いが月々ありながら請求が数カ月後になる建設業界ではその影響が特に大きいです。

資金繰りのポイントは収入と支出の予測です。予測とといっても金額と必要な時期のそれぞれが必要です。

まず、収入の金額ですが、これは請負工事では基本的に最初に確定しています。ただし、1回でもらえるのか、前払金、中間金、精算金といった形で何回かに分かれてもらえるのかは工事内容によって異なります。

一般的に公共工事はある一定の金額と工期を満たせば、前払金を受け取ることができるので、工事着手時の費用を賄える点では有利です。工事規模によって、中間前金払や出来高部分払といった方式もとれますので、資金繰りはだいぶ楽になります。ただし、しっかりとして出来高管理ができていないともらえませんので、現場管理の重要性が増します。

民間工事も手付金といった形や部分引渡による精算金でもらえる場合もありますが、工事規模が大きくなければ精算金1回と考えるのが基本となります。

入金時期は、前払金・中間金は請求から1か月以内が基本です。精算金も請求後1か月から2か月ですが、留意すべき点は、工事の竣工後に請求できるのではなく、建設物の引き渡し後に請求ができるということです。

工事ごとの入金時期と入金額を一覧表にしたうえで、各月の資金繰り表に展開するのがわかりやすいです。そのために契約管理と一緒に行うのが効率がよいです。月日まで時期を設定しておくと日ベースでの資金繰りでも利用できます。

次に支出の金額ですが、これはまずは工程表策定時に実行予算の各予算額を工程に割り当てます。たとえば、4月から6月まで30万円の工種があれば、各月に10万円ずつの支出を割り当てます。あとは月ごとに集計すれば、おおよその支払予測が算出できます。これを工事ごとに実施したのち、全体で集計すれば月レベルでの支払予測は完了です。

支払予測を日ベースにしたいのであれば、さすがに着工時では精度が高くならないので月単位での請求書で実施していきます。この際は工事単位にこだわらず、支払先単位で支払日と支払金額を押さえていけばOKです。ただし、請求書が遅い場合は、その前に発注書や納品書ベースで数量がわかるので単価で先に業者に聞いて計算してしまうことをお勧めします。金額の精度的には請求書より落ちるかもしれませんが、支払時期は業者によってほぼ決まっていますし、金額の差もあまり大きな請求額でなければそんなに資金繰りに影響を与える金額差は発生しません。このあたりは精度を実際の請求書受領後に計算した金額と比較しながら、早目に資金繰り表を作れる仕組みを考えていきましょう。

最後に入金時期・入金額、支払時期・支払額を1つの表にまとめて、小遣い帳のように残金を集計していきます。支払不足が発生すれば、借入金も含む資金確保を検討し、解消できるように動くのが一般的ですが、支払時期・金額や入金時期・金額を少しずらすことで解決できる場合もあります。請求先や支払先とよく相談することも大切です。

注意点としては、工事の内容変更に伴う支払および請求の金額と時期です。1つの工事ならともかく、複数の工事で起きると思わぬところで資金不足が発生してしまうかもしれません。現場での変更管理と連動させて、早目に金額・時期をおさえましょう。

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