財務管理(その6)

引き続き、財務管理についてお話しします。今回は資金調達計画、端的には借入金管理についてお話しします。

資金管理いわゆる資金繰りの回では、収入と支出の予測を中心にお話しをしました。必要な金額を把握するという点で管理を行うという話です。

今回はそこで必要となった資金をどう調達するかとその調達した資金をどう管理するかという話をします。

以前もお話ししたように建設業では、支出してから収入までの期間が長いことが多いです。製造業でも生産期間が長いものは同じような傾向になると思いますが、支出が先行している分多くの資金が必要になります。

また、その期間は工事単位で異なるため、必要な資金額は一定ではありません。一戸建てやリフォーム、道路補修といった比較的短いものもあれば、マンションや新規道路工事のように長くなるものもあります。規模が大きくなると年度をまたぐことも少なくありません。

さすがに1年以上も収入ナシというわけにはいかないので、中間精算を実施してもらうことになると思いますが少なくともそれまでは何らかの資金調達で得たお金で支出をカバーしていくしかありません。

一般的な運転資金以外にも設備投資金も必要です。建設業の場合この設備投資金が大きく、借入金元金返済の際の大きなポイントとなっています。また、運転資金は工事に対する出金だけでなく、販管費等での必要な費用も含んで把握しておく必要があります。

そこでどこから調達してくるかというと自己資金だけで必要調達額を超えるような企業はあまりないと思います。社債のような手法もありますが一般的には金融機関からの借入という形になります。

借り方はいろいろありますが、いずれにしても借入先や借入時期、借入条件(利率や担保、返済期限・回数等)を明確にして、月別の元本返済額、支払利息額を一目でわかるようにしておく必要があります。

特に短期借入金(1年未満での返済)が多くあると上記の管理がずさんになり、長期借入金(1年以上の返済)の元金返済・支払利息との全体管理ができていないために思わぬところで資金ショートつまり現金不足に陥ることがあります。

手間でも丁寧な管理を行いましょう。単一の金融機関であれば、担当者にお願いすれば、管理表の見本を見せてもらったり作ることをお手伝いしてくれるところもあります。複数金融機関であればメインバンクはお手伝いしてもらい他行分を自社で作りましょう。

内容を確認したら、状況によって条件を見直していきます。利率が上昇しても資金の安定供給という点で短期借入金を長期借入金に変換することも必要です。また、前回お話しした固定資産管理の状況を踏まえて、固定資産売却による借入金の返済といったことも検討していきます。

もちろん、工事の支払方法や精算時の入金方法についても見直しをかけていきます。特に支払方法については入金とのタイミングを踏まえた調整、入金に関しては売掛金の早期回収や手形比率の変更です。特に資金繰りが厳しいといわれている企業ほど小規模工事での売上回収が遅れていたり、請求漏れがあったりすることが多く見受けられますので、管理を強化し、催促をしていきます。

それらの対策をしながら、自社の借入金依存率【(長期借入金+短期借入金)÷総資産】を減らしていくことが大切です。調査機関による建設業での借入金依存率は比較的小規模企業でも3割を切るぐらいが平均のようです。(大きくなるほど減る)。自社の目標を決め、対策をしていきましょう。

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