引き続き、財務管理についてお話しします。今回は固定資産管理についてお話しします。
固定資産管理といっても通常は固定資産管理台帳を作って管理されているはずです。一般的には番号、固定資産名称、数量、取得年月、管理者、取得価格、保管場所といった情報をもちます。
また、リース物件についても同様にリース物件管理台帳を使って管理されていると思います。こちらは番号、物件名、リース期間、リース会社、契約番号、設置場所、リース料金、支払回数、支払方法、担当者といった情報をもっているはずです。
税務的にいうと耐用年数1年以上で、取得価額が10万円以上の資産、減価償却の対象となる資産は固定資産税の対象となるので正確に把握しておく必要があります。取得価額20万円未満の資産で、「3年一括償却」をするものいわゆる少額資産は固定資産税の対象となりませんが、把握しておくという点では把握すべきです。
固定資産管理表は上記での取得価格や数量はもちろん、減価償却方法や法定耐用年数といった減価償却費を算定するに必要な情報をエクセル等でまとめておくと計算できます。
ただし、平成19年以前の取得資産であれば、関数で計算できるのですが、それ以降の所得はちょっとひと手間かける必要があります。1円まで償却できるようになったためです。また、気を付けてほしいのは、償却済資産でも評価額が取得価格の5%を下回ると5%で評価額が固定されて固定資産税はかかるということです。
このような基準のもと、きちんとした管理を実施すれば、税金の計算や減価償却費の計算を行う流れになります。
しかし、実態としてはあるものがなかったり、ないものがあったりすることが少なくありません。具体的には購入したものの少額であったために記載対象と思っていなかったとか、廃棄処分にしたものの記載を削除してなかったりとかといった業務上の問題で発生しています。
これは単なる帳簿上管理だけで、現物の管理者との情報共有や追加、廃棄に対する基準・手順を決め、順守できる仕組みを作っておかないからです。特に中小建設業ではあまりないかもしれませんが現場購入に対してはきちんとしたルールを決めておく必要があると思います。10万円以上の資産購入に対して発注審査がいることを周知徹底させるだけでも違います。
また、固定資産を単なる税用ととらえずに維持修理とも連動させることがより効果的な管理を行えます。具体的には建設会社では建設機械の管理がそれにあたります。
経営審査事項で建設機械の保有状況点数が加算されること(1台1点で最大15点まで加算される)や災害復旧協定を結んでいるためにもしもの時すぐに使いたいとの理由でほとんど動いていないものを保有していることがよくあります。しかし、維持修理費が意外とかかっていたり、保管場所が借地で借地料が結構高かったりすることに気づいていないことがあります。
建設機械に関しては維持修理費や借地料に関する費用を固定資産税に加え、建設機械所有に関する全体的な費用と実際の稼働率を明確にすることで本当に保有することがいいかどうかが見えてくると思います。
建設業は製造業のような装置産業ではありませんが、意外と固定資産は小さくありません。無理・無駄のない固定資産管理を実施することでも収益を改善されることができるということを忘れないでください。