引き続き、財務管理についてお話しします。今回は書類管理についてお話しします。
財務管理で意外とできていないのがこの書類管理です。単に作成した書類を大事にキャビネットに入れておくことが管理ではありません。作成した財務関連書類を以下に活用するかが大事なのですが、作成したままで利活用できていないことが多いということです。
今回はどんな書類を作成するのか前回までの資料作りを振り返ってまとめてみました。
1.税務・法務資料(その1より)
・損益計算書
・貸借対照表
・完成工事原価報告書(製造原価報告書)
2.工事原価管理資料(その2・4・7より)
・工事別請負予算実績一覧表
重要工事・一般工事・諸口工事が一覧になったもの。請負金額・実行予算・支払実績がわかる。 利益率と達成状況がわかる
・重要工事個別原価管理表
実行予算と実績がわかる表(工事ごとで月ごと)。未払管理ができるとなおよい
・一般工事管理表
簡易な実行予算とその実績がわかる表。一覧表なのか個別表なのかは規模次第
・諸口工事一覧表
諸口工事の一覧と個別の請負金額がわかる
3.資金管理・リスク管理(その3・8より)
・入金予定表
工事ごとに前払金、中間金、精算金の入金予定と額がわかる。請求日と支払日は違うので注意
・支払予定表
工事着工時に施工中の月別支払予定を記入する
・固定費概算表
事務所経費等の固定費の支払予定を年間でまとめておく
・資金繰り表
上記の入金・支払をまとめたもの
・請求先・支払先リスク一覧表
倒産懸念がある請求先・支払先を金額と一緒にリスト化しておく
4.固定資産管理(その5より)
・固定資産管理表
一般的な項目以外に減価償却費や法定耐用年数もあるとよい
・リース物件管理台帳
一般的な項目でOK
5.借入金管理(その6より)
・長期借入金管理表
借入額、借入先、借入時期、借入条件、元本返済額、支払利息額
・短期借入金管理表
借入額、借入先、借入時期、借入条件、支払期限
・将来投資予定表
上記の期限(法定耐用年数・リース期限)を踏まえて、将来的な計画を立てる。社員の採用、給与UP等も考慮する
6.長期利益管理(その9より)
・長期目標利益管理表
借入金返済・将来投資を踏まえて当期純利益を複数年でどれぐらい確保していくかをまとめる。公共工事・民間工事別の利益率や目標年間請負額も記載する。
7.その他
・顧客別実績利益管理表(主に民間工事)
顧客別実績利益率をまとめておくと営業戦略を立てやすい。利益率の高いところへシフトする
・受注実績・予定表
本来は営業用だが資金繰り用としても使える。工事ごとに請負額・利益額(受注前は予定、受注後は確定)を記 載しておく。受注可能性(高・中・低)で分けること。低いところは予定請負額・予定利益額に含まない。利益額を合計し、年間目標までの差額を表示しておくとよい。
それなりに量もあり、作成を大変ですが、会社がきちんと機能し、社員がきもちよく働くためには必要な書類です。簡易なものからでもいいので作成していきましょう。