電子納品と事前協議

 前回に引き続き、電子納品支援を数回行うにあたり、いくつかの問題点にあたりました。その際に行った対策について、お困りの方がいるのではないかと思い、お話をします。

 今回は事前協議です。

 以前に比べて事前協議そのものは行われるようになったと思いますが、形式的な感じがまだ抜け切れていません。特に発注者も受注者も電子納品が未経験な場合、その傾向が強く、一般的な事前協議チェックシートに必要事項を記入して提出、受領して終わりといったケースが多いようです。

 しかし、土木工事で期間が長いものは事前協議の際の発注担当者受注担当者が変わることも少なくなく、話したことが引き継がれない、もしくは、意味もなく方針変更されることがあります。

 そのような事態にならないよう、しっかりとした事前協議を行うためには、2つの大きなポイントがあります。

1.事前協議を行い、打合せ簿を残す。

 当たり前だと思うかもしれませんが、現実は着手時協議チェックシートの受け渡しで終わっていることがあり、打合せ簿がありません。結果として言った、言わないの話が竣工時に出てくるといったケースをよく見かけます。

 最低限、参加者と同意したことを記録したもの、できれば、着手時協議チェックシートに書かれている内容だけでは不足している内容を詰めた記録を残すことをおすすめします。もちろん、発注者の参加者も明記の上、承認印を押してもらうのを忘れないでください。

2.納品に必要な議題をきちんと確認する。

 事前協議で決めることは以下の7つです。次回以降個別のポイントは話しますが、ここでは概略のキーワードを示します。大抵は、仕様書、基準、要領書。手引き等に書かれていることなので、確認するだけでいいことですが、担当部署だけのローカルルールが存在することも少なくありません。できるだけ、柔軟な対応ができるよう協議を行いましょう。

(1) 対応基準
 対応基準(どの年月日)、指示書、別紙書類の確認、長期施工の場合の見直しの有無

(2) 納品対象書類
 紙納品と電子納品の区別、紙・電子納品の二重提出、捺印資料の扱い(特に公印のもの)、発注時の基準に従っていないCADデータの取扱

(3) 使用ソフト・ファイル形式
 作成ソフトの種類とバージョン。特にCADデータの最終納品形式(DWG、SFC、P21)、エクセル等も2003以前の形式か2007以降の形式か

(4) 使用工種名
 各種提出書類における使用工種名、特に写真の場合におけるデジタル写真管理基準に対する準拠度合、新規工種の取扱、階層の定義
(5) データ保管方法・共有方法、引渡時期
 CD、DVD、BDへの対応、メールや情報共有サーバによる電子納品データの共有方法、施工時(日常、毎週、毎月)・中間検査時・竣工検査時等の各時期における引渡内容

(6) 検査方法・場所
 中間検査時・竣工検査時の検査方法(紙、ディスプレイ、プロジェクター)、検査場所(現場事務所、現場詰所、発注者事務所)

(7) 竣工データの承認方法、時期
 承認先(担当工事区レベル、本社もしくは研究所等の専門部署レベル)の確認、竣工検査との関係(事前・事後、その期間)、提出書類の最終捺印者(現場所長、担当部長、支店長、社長)

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