ビジネスメール(その10)

 前回は返信や転送の際のポイントをお話ししました。今回は使っていない人もいらっしゃると思いますが、メーリングリストに関することをお話します。

 ご存じのない方に説明するとメーリングリストとは複数の特定の方に同時に配信できるサービスです。特徴はメーリングリスト用の専用アドレスに送信することで全員に配信される仕組みがあり、全員のメールアドレスを知る必要もなければ、ToやCCに宛先を複数記載することも不要だということです。グループメールと呼ばれていることもあります。

 複数の現場や工場など集まりにくいメンバーであるテーマを打合せする際や社員全員に一斉に情報提供したい際に利用します。また、システム開発など開発会社と発注会社との情報共有や異業種交流会など異なる会社間での情報共有にも活用することがあります。

 無料サービスも多くあり、自社で仕組みを持たなくても簡単に導入できます。しかし、複数の場所や役職の違う方に同時に送信できるからこそ注意すべき点がいくつかあります。

■新規テーマの発信は返信ではなく、新規作成で作る。

 ほとんどの方はメールソフトを一覧表示で見ていると思いますが、メーリングリストは会話別表示(スレッド表示ともいいます)で見ると便利なことがあります。特に複数のテーマが並行して議論している場合やひとつのメーリングリストに複数のグループが参加している場合は、この会話別表示にすると簡単にグループ分けができます。しかし、そのためには最初の発言が新規作成で行う必要があるのです。返信を使ったメールはその返信の発言グループに所属するため、せっかくの新規発言が他の発言に埋もれるからです。

■タイトルを一工夫する

 以前もお話ししましたが、タイトルは発言の意図がわかり、かつできるだけ、簡潔に表現することが重要です。不特定のメンバーに問いかけるものであれば、【質問】、特定のメンバーに返信を要求するものであれば【要返信:○○グループ】など目的がわかるようにタイトルに一工夫することが大切です。できれば、ルールを作ってメンバーで同じ表記にすることが望ましいです。

■自分の名前は最初のほうに表示

 まずは、どのメンバーに向けてのものなのかを明示し、挨拶等をいれたうえで、自分の名前を表記しましょう。メーリングリストでも最後に署名を入れることや発信者で自分の名前を示すことはできますが、メール本文の早めに自分の名前を明示することで誰の意見かすぐにわかるようにすることは大切です。

■引用範囲は最小限に

 メーリングリストは経緯がわかるように元の文章を残すことが多いです。ただ、流れがある程度わかるならば、余分な行は削除し、簡潔にするよう心がけましょう。

■コメントの記入場所

 コメントは大きく引用文のなかにコメントをする場合と上部にまとめてコメントする場合の2パターンに分かれます。問いかけが短かったり、返信が出欠など簡単なものであれば、上部に書き、問いかけが長く、近くに書いたほうが望ましいときは引用部分の中に書くようにします。この際に引用文と自分のコメントがきちんとわかれてることがわかるように引用記号や区切り線を上手に使いましょう。

■内容はみんなに見られることを忘れない

 よく知っている質問者への回答だと、つい、フレンドリーな書き方になることがあります。しかし、メーリングリストは全員に必ず配信されるものです。誰に見られても困らないような表現にしましょう。テーマに関係ない人からも「覗かれている」という意識は常にもってください。その点で個人情報や機密情報を記載することはできるだけ控えるようにしてください。

■時計を合わせる

 秒単位とまでいいませんが、発言の並びが大事な時もあります。パソコンの時計はできるだけきちんと合わせましょう。理想を言うとインターネットの時刻サーバーと連動させ、正しい時間になるように設定しましょう。

■添付ファイルはできるだけしない

 やむを得ない場合を除き、添付ファイルはせずにできるだけ本文に記載するようにしましょう。返信の流れが見れるのがメーリングリストの特徴なのにそれが添付ファイルだとできないからです。

 メーリングリストならではのものもあれば、ビジネスメールとしてのものも入っていると思いますが、利用していない方はぜひ仲間内で始めてみてください。情報共有のあり方がわかると思います。

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