社内システムのモダナイゼーション(その12)

今回も引き続き社内システムのモダナイゼーションについてお話しをします。

前回はモダナイゼーションの留意点の1つとして外部システムとの連携についてお話しをしましたが、その続きといった感じで、データの一元化についてお話しします。

(8) データの一元化(one fact in one place)

前回、前々回ともお話ししています、モダナイゼーションによりデータ入出力が比較的簡単になります。この結果、外部システムとの連携も容易になり、転記がなくなるのは前回お話しした通りです。

転記作業がなくなることは、結果としてデータが初期した状態でずっと転用できているということになります。本来転記業務は新たなデータを発生しているわけではないのですが、ミスやロスによる改変がゼロではないという点で問題があるのです。これはシステムに対する入力でも出力でも同じことが言えます。データを一元化することで、ムリ・ムダ・ムラも減り、業務効率化になることは言うまでもありません。

一元化することとはOne Fact in One Place(1つの事実は1つの場所に)という考え方に基づきます。このためには正規化という作業が必要になってきます。正規化とは簡単にいうとデータを使いやすように整理し、複数のグループに分ける作業をいいます。データを使いやすくするだけでなく、顧客と取引先、商品と製品といった似たものがきちんと異なるのか一緒なのかを明確にルール化することも含まれます。

データを正規化することで同じ情報が2カ所に存在しないようにし、修正がしている、していないといった情報の鮮度のバラツキによるどれが正しいのか最新なのかわからないといったことをなくすことが可能になります。

ただし、正規化の方法は必ずしも1つだけではありません。業務の目的に応じてグループ化の基準やレベルが異なるからです。その点では業務と正規化は密接に関係していると思ってください。

例えば、仮に受注情報が修正依頼があったときに全体を更新するのか修正箇所のみを更新するのかとか、最新情報だけ保持するのか、変更履歴を持たせるのかといった条件によって情報の持ち方は変わってきます。変更履歴を持たせることは誰がいつどのような変更を行ったかを確認できますが、データは複雑になり、データ量は増えます。確認することが不要なデータまで履歴を保持するのはかえってムダになります。業務で必要な情報をムリ・ムダ・ムラなく保持することが大切なのです。

そのために情報を一般化する、特殊化するとか、わざと正規化を進めないもしくは非正規化を行うこともあります。また、データを連携させる際にどのデータを始まりとするのかはデータの発生源をきちんと定義するだけでなく、その精度も考慮して決める必要があります。

少し難しい話になってきましたが、大切なことはデータは1か所を起点に関連付けを行い、集計や加工をするということです。これらは手書きではできないし、レガシーシステムでも難しかったことでモダナイゼーションしたことでできることだということです。

逆にいうとモダナイゼーションした以上はデータの一元化を常に意識してください。そのことでより効果が出てくると思います。

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