今回はシステム運用の問題点についてお話しします。
最近、XPからの乗換に、消費税対応と、既存システムの見直しについて相談を受けることがとても多かったです。その中でほとんどの場合に話が出てこないのがシステムの運用でした。
システムを効率よく使うためにはとても重要なのになぜか軽視されている運用の問題についてお話しします。
(1) システムの寿命が設定されていない
一番の問題はシステムの寿命が設定されておらず、運用自体の存在が見えないことです。システムは開発してしまえば、まるで永久機関のように勝手に動くと思っているような中小企業が少なくありません。
中長期計画と連動し、自社の強みを生かすためのシステム導入と銘打っていても、導入したらあとは勝手に使えといった印象が多いです。システムの寿命を設定し、その期間中は運用という業務があるという認識が欠けているように感じます。
(2) 運用コストが考慮されていない
上記の話にかぶるかもしれませんが、運用業務が軽視されているために予算が見ていないことが少なくありません。特にセキュリティは昨今の事情で多少は考慮されていますが、バックアップに対しては外付けハードディスクにコピーが関の山で、地震や台風による事務所全体が被害にあうことが考慮されていないことが多いです。
また、バックアップだけでなく、システム用パソコンの維持管理や新入社員を含む新しいシステム操作者への教育計画なども白紙状態で当然のそのコストも見ていません。結果的に導入時から時間がたてばたつほど、不具合や操作ミスが増えていくことになるのです。
(3) 運用の硬直化
教育や寿命にも関係していますが、ユーザーや業務との連携がないのも問題です。特に法律や環境の変化に対し、「システムはこうだからしょうがない」と効率化を阻害するような動きをシステムがしてもそこに手を打つことはありません。
また、運用も業務時間の変化やユーザーニーズの変化に対応せずに導入当初の役割をかたくなに守っていることがあります。少し変化させれば、より利用がしやすくなるものを業務変化との非連動によって阻害している感があります。
最終的にユーザー側が業務効率化のために勝手にサブシステムを構築すると、「これだから部分最適をするユーザーは困るよね」と連動していないことを棚に上げて非難する運用側がいます。運用でまずはカバーし、できなければ、システムを見直すといった業務ありきの視点ではなく、システムありきの視点が問題を大きくしています。
運用業務そのものもITが進化しているにもかかわらず旧態依然とした内容で目的が見えないまま行っている例もあります。
(4) 運用担当者の業務が不明瞭
システムの運用が軽視されている、コストが不足しているせいもあるとは思いますが、運用手順書がないことがとても多いです。そのために、運用ノウハウが属人化しており、運用担当者が転勤や退職等でいなくなることがわかっても、引継できない。
そのために運用担当者が変わったら、使えない機能がどんどん増えていき、不幸せなシステム(機能的には問題ないのに使いこなせないシステム)が誕生することになります。
(5) 運用への評価がない
システム運用は裏方ですが、なくてはならないものです。にもかかわらず適切な評価がされていないことが多く、システム関係者が積極的にかかわらなくなり、システムの利用状況を悪化させる一任になっています。
いずれにしても、システム総コストの半分以上、状況によっては7割を占めることもある運用業務をないがしろにしていることが要因だと思います。