前回の要件定義編では、要件定義する際に行うべき4つのことを書きました。
・画面イメージをつくる
・用語の定義
・利用者の特定と調整
・他システムとの整合性(会社の全体像を意識する)
しかし、これだけではITベンダー(※ベンダーは日本語で売り手という意味)への情報がまだ不足しています。できれば、上記の4つ以外のものもまとめましょう。これらはRFPと呼ばれ、ちゃんとした意味があるのです。
ほとんどの中小企業では、システム開発を知り合いのITベンダー(現行システム導入会社、知人経営等)に依頼するパターンが多いと思われます。しかし、本当に会社に合っているのか、低コストでできているのか。1社ではわかりません。ましてやITは日進月歩ですから、知り合いの会社が追随しているかも判断できません。よって、複数のITベンダーに見積りと提案書を出してもらうことが重要です。
ところが、この依頼のために何度も同じ内容を説明するのでは大変ですし、口頭だと同じように伝えられない場合もあります。そこで、RFPをまとめるのです。
RFPにはもうひとつメリットがあります。システムのための必要事項(内容、予算、体制等)をまとめることで、会社内での意思統一がとれるということです。それでは、具体的にどんなことをまとめればいいのかを順にお話しましょう。
1.全体概要
今回の企画のまとめ。導入したい背景や望んでいる効果を簡単に書いておくとよいでしょう。
2.現状分析
現状の問題点、解決したい点を具体的に示します。システムに対応する業務手順書があればベストですが、なければ、現状の流れを書き、どこに問題があるか、どこを改善したいかをふきだし等で記入しておくとよいでしょう。
3.システム内容
前回まとめた4つに、欲しい機能書いてください。このとき、必須機能(MUST)と要望機能(WANT)は分けましょう。予算に影響してきます。
4.制約事項
予算、期限が決まっている場合は明示します。社内のIT成熟度(操作対象者のレベル、インフラ条件)も書いておくと望ましいでしょう。インフラ条件とは、セキュリティ、ハードウエア、ソフトウエア、ネットワークといった社内のIT環境のことです。
5.スケジュールと体制
導入までのおおまかな打合せ回数や導入後の展開をまとめておきましょう。体制は、導入前と導入後の両方を考慮してください。多くの場合、導入前はそれなりに人員を割き、スケジュール管理をしますが、導入後はベンダー任せです。次に述べるサポート条件や費用にも関係してきますから、社内で認識を統一できるように明文化するのがよいでしょう。特に窓口をしっかり決めておくのがポイントです。
6.サポート事項
導入後のサポートです。ベンダー任せにすればするほど、楽にはなりますが費用がかかります。また、サポートに対して熱心でないベンダーもありますので、どんなことをしてほしいのかまとめましょう。具体的にはトラブル発生時の電話・現地訪問の条件などです。
7.契約事項
納品条件、検収条件、支払条件、知的権利の取り扱い、機密保持、不具合の瑕疵責任(期間と対応方法)です。わからなければ、ベンダー側から雛形を入手して自分たちに合う条件に書き換えてもよいでしょう。
8.提案事項
提出期限・提出先、質問の問い合わせ先は最低掲載しましょう。複数のベンダーに依頼しますから、比較しやすいように提案書目次や形式があるとより望ましいでしょう。
上記のすべてをまとめるのはなかなか大変です。最初は、1?4までを目標にし、5?8は提案してもらってもよいでしょう。大切なのは複数のITベンダーに同じことを明確に伝え、比較することです。これさえできれば、自社により適したシステムを入手できるはずです。