社内システムのモダナイゼーション(その3)

今回も引き続き社内システムのモダナイゼーションについてお話しをします。

前回は比較的大掛かりなモダナイゼーションを紹介しました。具体的には下記の4つです。

1.リビルド:再構築(一から作り直す)
2.リプレース:置換(パッケージやサービスへの移行)
3.リライト:書換(開発言語を変更する)
4.リホスト:再集結(システム環境を変更する)

今回は少し小規模で本体は変えずに使い勝手の向上や外部システムの連携、利用率向上といった視点でのモダナイゼーションの手法を紹介します。

5.ラッピング

包むという意味ですが、もともと持っている機能を別の形で提供する仕組みのことをいいます。具体的には古いシステムが提供する出力形式を新しいシステムとの連携に使えるように変換するような場合です。結果として使い勝手がよくなったりすることもあります。

ミドルウェアと呼ばれる変換専用のソフトもあり、EDIのような企業によって複数の形式がある取引パターンを一つのパターンに統一するようなことができます。

6.リインターフェイス

再入出力とちょっと変な日本語になりますが、ラッピングとほぼ同じように元の入出力を加工することで最新機器(モバイルやPC)で使えるようにすることです。ラッピングより入出力画面を中心に考えています。

このモダナイゼーションを行うことで、従来は使えなかったモバイル端末からシステムにアクセスできるようになったり、キーボード入力しかできなかったものがマウスやタッチパネルでの操作が可能になり使い勝手の向上が図れるなどの効果があります。

7.リファクタリング(リメディエーション)

再要因化・改善という意味ですが、システムの機能はそのままで、内部構造を変えることをいいます。プログラムコードの設計改善といったところでしょうか。

古いシステムは継ぎ足し継ぎ足しの状態でプログラムを見ても解読しづらい状態になっているため、メンテナンスや移行もしづらいです。これを見やすい形にすることで不具合を減らしたり、運用性を高めたりします。不要なコードを削除することでコスト削減にもつながります。

8.リドキュメント

再文書化とこれも少し変な日本語ですが、要はシステム関連文書の再整備です。開発関連文書はもちろん、運用関連文書も継ぎ足し継ぎ足しになっていたり、部分的には最新版管理ができていなかったりします。

結果として、文書を見るだけでは機能把握ができず、プログラムソースを見るという手間がかかり、トラブル時の対応に困ることが多いです。すべてを最新版に置き換えるだけでも保守性は高まります。また、今後の開発や移行に際しても役立つことが多いです。

9.リラーン

再学習という意味ですが、システム機能のおさらいといったところでしょうか。有用な機能なのに忘れられているとか、組み合わせれば外部連携も容易なのにその組み合わせができていないとかいった形でシステムを有効に使えていない場合に行います。

実際行う際はリドキュメントとセットで行うことが効果的です。文書を最新版に整備し、機能をわかりやすく体系立てたあとで教育を行うことで現状システムの能力を最大限活かすことができます。

今回の5つの手法は小規模な現代化なので、コストは安く、対策期間も短くて済みます。しかし、システムそのものを変えるものではないために効果は限定的になります。本格的な以降の準備といった手法ですが、利用しているシステムがまだまだ現役として機能できる場合は有効だと考えます。

大きな現代化は予算的にとか期間的にとかお考えの場合はこの5つを検討してみてください。

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