社内システムのモダナイゼーション(その5)

今回も引き続き社内システムのモダナイゼーションについてお話しをします。

前回は少し後ろ向きの理由(サーバーのサポート切れやシステムのブラックボックス化)によるモダナイゼーションの選び方を紹介しましたが、今回はもう少し前向きの理由による選び方の話をします。

例えば、レガシーというほどではないが、Windowsのみにしか対応していない基幹システムをiOS、Androidといったスマホ、タブレット対応にしたいとの話が出た時にヒヤリングを進めると経理部や総務部、技術部等内勤部署ではニーズがなく、営業部、製造部、工事部といった外勤部署のみにニーズがあるといったケースはよくあります。

この際に全体をリビルドやリホストするのはもったいないです。ニーズがある部署だけが利用する機能だけに絞り込んだうえでリインタフェースするのが望ましいです。少し古いぐらいのシステムであればデータベースはアプリケーションと独立していることが多いので、直接データベースにアクセスする仕組みを構築しやすいからです。

また、基幹システムそのものには不満がないが他システムとの連携についてもう少し強化したいといった場合もその連携に関与する機能とデータをきちんと明確にすれば、ラッピングの手法で部分的なモダナイゼーションを実施することができます。

機能マニュアルは一応あるんだけど、使い勝手が今一歩とかデータが少し古くてといった場合は目的を利用データの刷新や業務に合わせたリドキュメントが効果的です。できれば併せて、リラーンつまり機能の再学習を関係社員全体にやることで一部の人しか使っていなかった機能の利用率向上や既存機能の効率的な利用方法が身につくことで業務改善につながることもあります。

これまでに紹介したモダナイゼーションは、システムのソフト的な改善が中心ですが、ハード的な改善によるモダナイゼーションも有効な場合があります。

例えば、基幹システムのレスポンスが悪いので何とかしたいといったときにホスト側ではなくクライアント側の買い替えやハード増強でシステムに対するレスポンスが改善されることがあります。

実は最近セキュリティ対策のアップデート監視やできるだけ早く起動するための準備アプリといった常駐ソフトが増えています。結果として開発当初は十分だったマシンスペックもいつの間にか他のソフトにメモリを使用されてしまい、サーバー側ではなくクライアント側の理由でレスポンス低下を起こしている場合も少なくないのです。タスクマネージャー等で見るとすぐにわかります。

この場合、クライアントとなるパソコンがハードの部分入替が可能であればメモリの増強やハードディスクのSSDへの換装といったことで大きく改善することもあります。もちろん、サーバー同様ハードウェアの寿命を考慮して適切なタイミング(できれば4年から5年ぐらい)で買い替えをできることが望ましいです。

以前ほど大幅な性能アップはないですが、パソコンも4、5年たてば同程度の価格で高性能で大容量化しているのは確実です。交換を確実に実現するために高価なものを長く使うよりはそこそこの値段のものを定期的に買い替えることをお勧めしています。

また、ネットワークが原因の場合もあります。理由はいつの間にか増えているクライアント(特に無線LAN経由での個人スマホ)のせいで通信回線が圧迫されて速度低下が起きていることがあります。この場合は回線を増やしたり、個人スマホの接続制限をするなどの対策を行うことでレスポンスの改善につながります。

既存機能に満足していてもちょっと視点を変えることでモダナイゼーションできることもあることを覚えておいてください。

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