前回に引き続き、在庫管理についてお話をします。今回は在庫品に関する用語を中心にお話しします。
(1) 在庫期間による分類用語
在庫管理のポイントの一つは、その在庫期間をいかに短くするかだと思います。そのために各在庫品の在庫している期間によって分類された名称を使って、在庫対象の問題を意識できるようにしています。一般的な分類としては、以下の4つに分かれます。
・流動在庫
在庫期間が短く、入出庫頻度が高い在庫品。具体的には毎日から毎週確実に入出庫されており、倉庫は仮置き場的な扱いのもの。本来は在庫のほとんどがこの分類であることが望ましい。
・緩流動在庫
在庫期間が長く、入出庫頻度が低い在庫品。具体的には月1回から年数回の出庫があるもの。一括購入だと安い等の購入条件やある単位でしか購入できない等の購入量制限により、やむを得ず在庫期間が長い場合もあるが、漠然とまとめ買いしたために放置しているケースも少なくない。
・滞留(非流動)在庫
ほとんど出庫したことがない在庫品。具体的には年1回あるかないか複数年に1回かもしれないようなもの。緩流動在庫の余りだったり、特殊製品でもしものニーズに対応するためのものだったりするが、劣化していることもあり、結局買いなおしていることもある。
・死蔵品(デッドストック)
出庫される可能性がない在庫品。型落ち(旧規格)製品で仕様書に掲載されないものや基準が変わったために利用そのものができなくなったもの。使い道が全くないがなぜが倉庫にいる。
在庫管理において、滞留在庫、死蔵品が問題なるのは上記の記述からもわかると思いますが、どの在庫品が該当するのかを決めていないことが多く、無駄な在庫スペースを維持している問題をよくお伺いします。
(2) 品切れと欠品
言葉のあやのようですが、2つは微妙に違います。ともに対象製品がないという点では同じなのですが、品切れは流通段階つまり発注側理由による製品不足のことを指し、欠品は生産段階つまりメーカー側理由による製品不足のことを指します。あまり気にせずに使っていると思いますが、ちょっとした豆知識として覚えておいてください。
(3) 未完成品在庫
建設業での在庫管理は通常、製品つまり完成品在庫がほとんどなので、下記に記載する用語はあまりピンとこないと思いますが、工場ではそれなりに意味のある分類です。経理用語でもあります。
・仕掛品
加工途中の未完成製品。当然、販売はできません。
・半製品
製造工程の中間品だが、そのまま販売できるもの。別の工程を続けることで製品になります。
・原材料
製品の元です。正確には完成した時に原形がなくなってしまう原料と完成した時に原形がわかる材料に分かれます。具体例でいうと家を作るときに使う木材は柱等で使われていると原形がわかるので材料となります。一方、紙を作るためにパルプになってしまう木材は紙になったら原形がわかりませんので原料となります。
・貯蔵品
燃料、油、釘、包装材料等の消耗工具器具備品でまだ未使用なものを指します。文房具や荷造り材料などで未使用のまま経費として計上されない場合や見本品として販売しないでとっておく製品も貯蔵品扱いとなります。