前回に引き続き、在庫管理についてお話をします。今回は在庫管理の効果についてです。
効果の話に入る前によく質問を受ける仕掛品と半製品の違いについて少し説明をします。
仕掛品とは仕掛かり状態の製品、すなわち、作成途中であり、販売することができない状態の製品のことをいいます。半製品とは仕掛品と同様に作成途中ではあるが、その状態でも販売できる製品のことをいいます。ちょっと建設業の例ではないですが、パン工場の場合、小麦粉やバターをこねて発酵させている状態は仕掛品ですが成形して冷凍するとパンにはなっていないものの販売が可能になるため半製品ということです。
もちろん、半製品は製品扱いの在庫管理ができるので、仕掛品より金額換算がしやすいとの経営的判断で分類しているケースもあるようですが、一般的には販売できるかできないかが境目です。
さて、話がそれましたが適切な在庫(別の言い方だときちんと機能している在庫管理)の効果についでお話しします。
まずは在庫の目的である売上向上につながる話として、即納化、欠品防止、鮮度向上があります。
具体的に製品在庫としてみると在庫があると生産リードタイム(作るための時間)をまたずに出荷ができる、当然、販売の機会損失(売り損ね)が起きない、適切な在庫量だと売れ残りをなくせるので製品が古いまま在庫に残らないということになります。これが在庫管理を適切に行い、無駄な在庫がないことで実現できる効果です。
材料在庫として見ると、適切な在庫があると発注リードタイム(発注から納入までの時間)をまたずに生産できる、手待ち(生産停滞)が起きない、無駄な在庫がないことで品質が悪くなる前に消費できることから品質低下を防止できるということです。
多すぎても少なすぎてもいけないのです。
次に原価削減という点からすると、在庫は少ないほうがいいです。では、無駄な在庫がないという観点で見るとどのような費用削減ができるか。
まずは、在庫金利の削減ができます。無駄な在庫削減で購入はもちろん維持費も減らせます。結果的に材料もしくは製品を購入する資金を借りる金額が減ることで金利も安くて済むということです。
次に倉庫費用の削減ができます。無駄な在庫削減で在庫スペースを減らすことができます。うまくいけば、他の資材や機材などを置くことができるかもしれません。レンタル倉庫なら賃料を浮かすことも可能になります。
在庫管理費も削減できます。無駄な在庫削減で管理負担が減ることは間違いありません。二人でやっていたことが一人でできるようになると大きな人件費の効果が出ます。
さらに出荷作業の無駄が削除できます。管理をきちんと行っているとどこに何がどれだけあるか、種類・位置・数量が把握しやすくなり出荷の作業効率をあげることができます。また、同じような視点で行くと材料供給時のトラブルも低減できるでしょう。場所がわからなくて、探すこともなくなり、探す手間を省くために余分に仮置き場所を作らなくても済みます。こちらの場合は、仮置き場での在庫管理とそのスペースが不要になり、効果はさらに大きくなります。
これらが狭義の在庫管理としての効果です。広義としての在庫管理で考えると販売(建設業なら現場での利用)や生産(建設業であれば事務所での下準備)の問題点をあぶりだすツールとして使えるのです。この辺りは次回、なぜ在庫が多くなるのかという理由から逆説的にお話ししたいと思います。