在庫管理(その15)

 前回に引き続き、在庫管理についてお話をします。今回はロケーション管理の話です。

 在庫の基本的なルールとして、同じ商品・材料は1か所に、置く場所常に固定として、同じ場所に複数品種置いたり、複数品種を棚がない状態で重ね積みしないといったことを決めます。

 しかし、実際は、同じ商品・材料が2か所以上にあったり、置く場所が日によって異なったり、違う商品を同じ場所で重ね積みして下の商品の内容が確認しにくかったりします。そのための対策が在庫の位置管理、ロケーション管理です。

 ロケーションとは、在庫管理の場合、倉庫内の保管場所を指す住所のことをいいます。つまり、ロケーション管理とは、商品の倉庫内の位置をきちんと把握して、倉庫内でモノを探し回ることがないようにするための管理のことです。

 ロケーションには大きく2つの配置があります。固定ロケーションとフリーロケーションです。

 固定ロケーションとは、アイテム(商品・材料)毎に保管する場所を固定して運用する方法です。固定された場所にあるので、慣れるとピッキング(収集作業)の効率は高くなります。反面、数量が少なくても一定の場所を確保する必要があるので、保管効率は落ちます。保管効率を上げるためには出庫実績や需要予測を行って、定期的な棚割り(固定場所の見直し)が必要になります。アイテムサイズが比較的一定サイズのもの、具体的には段ボール箱やケース単位で管理しているものに向いています。

 一方、フリーロケーションとは、アイテム(商品・材料)毎に保管場所を固定せずに自由な場所において運用する方法です。実際は空いている場所に保管していく運用になります。あいている場所をその在庫量に応じて詰めて配置するので、保管効率はあがります。反面、毎回一定の場所にあるわけではないのでピッキング効率は落ちます。ピッキングできるようにするためには商品場所の管理が必須になります。

 昔ならば、日々変わる商品の場所を管理するのは大変だったと思いますし、それをもとにピッキング用のルートを選定するのも難しいです。しかし、今はITを利用して最短ルートで必要なアイテムをピッキングする仕組みができており、タブレット端末との組み合わせで入出庫管理も同時にこなすことが可能です。サイズの異なるいろいろなアイテムをできるだけ保管効率のよい状態で管理するのにフリーロケーションは向いています。ただし、再移動は更新が大変なので、原則禁止としている場合が多いようです。

 固定ロケーションにしてもフリーロケーションにしても、倉庫位置の表示ルールをしっかり決めて守れるようにすることが大事です。具体的には

エリア・・・第1倉庫(台帳やシステムへの記入用)
通路・・・入口から順に1、2、3
通路の左右・・・右、左、どちらかが1で、もう一方が2
奥行き・・・手前から1,2,3
高さ・・・下から1,2,3

といった感じで、全体の場所から通路を基準に最後は収納設備位置情報を加える例が多いです。たとえば、2番目の通路の、左手の、手前から5棚目の、下から4段目だと<2-1-5-4>といった表現になります。(データ入力の際はハイフンはない)なお、通路の左右はLRを使う場合もあるのですが、入力端末に数字だけで入力するほうがテンキーだけで済むのであえて数字にしています。

 当然探すときのために倉庫への表示も重要になります。通路床に通路番号と右左を示すライン、ラックの棚側部に位置番号表示を示します。ラックには奥行と高さ表示だけでもいいのですが、一目でピッキングリストと一致させるために先ほどの4桁を表示することをお勧めしています。

 なお、固定ロケーションのときは合わせてアイテム番号やアイテム名を表示していますが、棚割り(場所の見直し)をすることが多く、ラックがスチール製の場合はマグネットシートで張り替えやすいようにします。

 倉庫サイズによっては「そこまでしなくてもいい」と思われる方もいると思いますが、実際に番号を振ると倉庫の全体保管量も見える化でき、棚割りも検討しやすいので、できれば表示なしでも番号を振ってみることだけでもお勧めします。

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