前回まで在庫管理のお話しをしてきましたが、今回から在庫低減のお話しをしていきます。
在庫は様々な理由で増える傾向にあります。もちろん、必要な在庫は持っておくべきですが、余分な在庫は管理負担にもなるし、倉庫スペースも無駄になるので、減らしていくことが大切です。
今回は、在庫低減での最初の一歩をお話しします。在庫低減の最初の一歩は不要在庫の一掃です。廃棄処分するにせよ、燃料やリサイクルに利用するにせよ、既存在庫から取り除く作業を行います。
(1) タイミングは一斉に
棚卸であれば、一斉棚卸だけでなく、循環棚卸もあるので、部分的に少しずつ攻める方法もありますが、不要在庫の一掃に関しては一斉にやることが望ましいです。できれば、創立記念日などの特別な日か長期休暇の前日などがいいです。ただし、長期休暇の前日の場合は、実質業務が前々日に終わるようにしておく必要があるので少し難しいかもしれません。
(2) 参加者は社員全員
上記の一斉にする理由として、この社員全員参加があります。全員参加するタイミングを何回も作るのは難しいからです。なぜ、全員参加にするかは3つ理由があります。
1つは全員で参加することで不要の判断をすばやく確実に行うためです。関係者がいれば、判断がしやすいし、判断しづらい在庫も全員であれば納得した結論を出しやすいからです。
もちろん、事前に在庫基準があり、誰もが取り除けるようにしておくことがいいのですが、現実は灰色の判定をしていしまうような在庫が残っていることが多いので、関係者が全員いる状態で作業をすることで確実に処理ができます。
もう1つは単なる人力です。少ない人数でちまちまやるより社員全員で行うほうが当然早いです。社長ももちろん参加して積極的に動くようにしましょう。
最後の1つは、在庫に対する意識を社員全員にもってもらうためです。在庫はそれを置いた人と使う人だけとするとどうしても在庫が風景に溶け込んでしまい、意識できなくなります。
通路をふさいでいても、出入り口が出にくくなっても「それが当たり前」と思ってします傾向があります。こんなところにこんなものがあるのがおかしいと意識してもらうことが一度減らした在庫を増やさないポイントでもあります。
(3) 写真撮影を忘れずに
一斉処分が始まる前に処分対象になりそうな在庫があるところはすべて写真を撮っておきましょう。できれば、2方向からとか近接と遠方からといった感じで複数のアングルからとることをお勧めします。なぜなら、1アングルだと処分対象がなくなった後で撮る写真がむきによってはピンとこない場合もあるからです。撮影した場所やアングルを忘れずに平面図等に記録しておきましょう。
続いて、個所ごとで処分対象がなくなるごとに同じアングルで写真をとります。この比較写真は今後の戒めにもなりますし、後で場所を確認したいときの証拠になります。
(4) 処分は別の日に
一斉処分といいましたが、実際は特定の箇所に処分対象の在庫物を移動するだけにします。処分を別の日にすることでその処分量全体を認識することもできますし、間違って処分すべきでなかったものを救うこともできます。
また、複数の保管場所に分散していたものを集めることで傾向がわかることもありますし、量によっては処分方法が変わる場合もあります。いずれにしても勢いで処分してしまわないほうがいいです。
保管場所の確保が大変かもしれません。処分するものなので最悪は屋外でシートをかぶせるような対応でもいいかもしれませんが、できれば復活する品もある可能性を考え、雨露がしのげる場所を確保してください。
(5) 最後は食事会
これは絶対ではありませんが、せっかくの全員参加の同じ業務の活動です。食事会等でコミュニケーションのチャンスとしても利用してください。
在庫管理が適切にできれば、不要な活動ですが、たぶん年に1回のイベントのような扱いになると思います。社員の意識を一つの方向に向けるものとして活用してください。