今回も引き続き社内システムのモダナイゼーションについてお話しをします。
前回と前々回でモダナイゼーション手法の選び方のお話ししましたが、今回はモダナイゼーションする際の留意点についてお話しをします。
(1) 項目・機能の棚卸をしてから追加・削除を行う。
比較的小規模なモダナイゼーションを行う際についついやってしまうのが機能追加だけして、削除を行わないことです。せっかく変更するのだから、こんな項目あんな機能をつけたいという気持ちはわからないでもないのですが、画面は限られているので項目数や機能を呼び出すボタン数が増えれば、当然操作性は下がります。
画面・入出力関連のモダナイゼーションであるを変更するようなラッピングやリインターフェイスを行うのであれば、必ず項目や機能の目的・役割の見直しを行ってください。このような作業を私は項目・機能の棚卸(実物を確認して、品質を精査する)と呼んでいます。
棚卸をすることで使ったことない機能や項目の必要性を再確認するとともに、使っていなかった理由(一時的な対応のための機能、当時は必要だったが今は不要な項目、他のソフトで代替していてその機能があることを知らなかった)が明らかになり、プラスの効果が期待できます。
特に今後スマホやタブレットといったタッチパネルを利用した入出力画面は増えていきます。項目数が多いと入力はしづらいし、見るときも小さくて拡大せざる得ないといった状況になります。レイアウト(項目・ボタン配置)を見直すことである程度対応できることもありますが、要らないものは削除することをお勧めします。
(2) 業務基準・手順・分掌を見直す
モダナイゼーションを行う際にこちらも見落としがちなのが今のやり方(業務基準・手順・分掌)をそのままで、要件定義を始めてしまうことです。
リプレースのようにパッケージやクラウドサービスを導入する場合はある程度機能に合わせて、やり方を見直すことは多いですが、リビルドにようにシステム全体を再構築する場合でも今のやり方をありきで進めてしまうことが少なくありません。
結果として、上記同様、機能や項目だけが増えてしまい、多機能で様々なニーズには対応できるものの使い勝手という点では疑問点の残るモダナイゼーションが行われてしまいます。
効果的なモダナイゼーションは業務基準・手順・分掌の見直しがセットだと思ってください。ある企業では分掌(役割分担)の見直しをかけたらいくつかの機能追加が不要になった例もあります。手順を変えることで画面数が減った例もあります。その分他の機能や画面に予算を振り分けることができるのです。
大変だと思いますが、大規模になればなるほどモダナイゼーションは今のやり方を見直すことを一緒にしてください。
(3) システムを振り返る機会
これは今回のモダナイゼーションに限らず、お話ししていることですが、システムを振り返る機会をぜひ設定してください。いわゆる定期点検です。
もう少し具体的にいうと、定期的(できれば年に1回)、機能の利用状況や項目の入力状況を把握することが大切です。項目はデータベースから内容をみれば、わかりますし、機能も導入時に操作ログを取れることが可能であれば、分析は可能です。
「データベースやログを見るのは難しそう」と思う方はシステムの利用者へのヒヤリングでもいいです。モダナイゼーション実施時に作成する機能一覧や画面コピーをもとに確認すると
モダナイゼーションを行ったきっかけは様々であれ、再発防止を行うためにはこの振り返りが不可欠です。後から決めるのはなかなか難しいと思うので、できれば、モダナイゼーションを実施した時に合わせて、システム管理基準として設定することをお勧めします。