業務改善の探し方(その3)

 今回は、IT活用に視点を置きます。今まで、あえてIT化というキーワードを避けてきました。それは、先にIT化を意識すると、業務の本質を見ることなく効率化や省力化のみにとらわれてしまうからです。

 とはいえ、IT化なしには効果的な業務改善ができないのも事実。しっかりと業務を見直した上で、必要に応じたIT化を図ることが大切です。(番号は前号からの続きです。)

9.無機質な業務を探す(業務のIT化)

 データの転記や繰り返しが多い単調業務に着目しましょう。例えば、各現場から集まった数値(営業成績や売上高、経費 等)をまとめる作業、社員番号からその人の住所氏名を割り出し社員名簿から転記する作業など。ほとんど考える必要が無く、ひたすら手を動かせばいい業務で す。このような無機質な業務は、やる気を低下させます。また、上司に与えられた業務であるにもかかわらず、作業している人自身が無駄なことをしているかの ような印象が生じ、その人の評価まで下げてしまいがちです。

 このような業務は、パソコンを使ってIT化してしまいましょう。
 ただ、あらかじめ無駄な項目はそぎ落としておく・事前に業務の上流下流との整合性をとっておきます。そうしないと無駄な部分に余計なお金をかけてIT化することになります。

 業務のIT化において注意すべきなのは、IT化で単調な業務が減っても、その準備(マスターデータの作成等)やメンテナンス業務などが新たに発生するこ とです。業務が減ったから人も減らすとはいきません。これを忘れると、効率化したはずがかえって手間のかかる業務になってしまいます。また、業務を奪われ たと文句を言う社員に、新たな業務を割り当てる配慮も必要でしょう。これらは総合的に判断し、業務分掌を決める必要があります。部分最適のIT化では思ったような効果はでないことを理解してください。

10.情報共有を目的とした業務を探す(業務のネット化)

 社内回覧や通達・業務連絡など、情報共有を目的とした業務は意外と多いものです。しかし、ひとつひとつは小さなものであり短時間で行われるため、業務改 善の対象から漏れがちです。また、多くは通常業務の邪魔となる非定時業務として、見下されがちでもあります。「情報共有は大事だ」と多くの方がおっしゃる 割には、ないがしろにされているように思われます。

 これらの業務は、ネット化することでどう変わるでしょうか。
 まず、同時配信による業務時間の短縮。また、バックアップ箇所がわかっていれば、過去資料の再閲覧も簡単です。メールの閲覧確認機能を利用すれば、回覧物を同時に廻すことで閲覧期間の短縮も可能です。メールやWebならば、通常業務への影響がないタイミングで閲覧できるので、他の業務効率にも貢献します。

 ただし、無駄な情報を垂れ流しにするのは×です。本当に必要とされている情報を見極めなければ、まさに通常業務の邪魔者です。そんな情報流していませんか?