業務の4S

 以前、パソコンの4Sのお話をしました。今回は業務の4Sについてお話をします。

 システム開発支援の依頼を受ける際に過去のシステムでの不具合や不満をヒヤリングすることがあります。その時にほとんどの場合業務の2S(整理・整頓)ができていないことが要因になっていることが多いと感じます。

 もちろん、システム開発に限らず業務改善支援を行う際にしても、業務の2Sができていないために改善点が見つけにくい環境にあることもあります。いずれにしても、業務を効率的に行うためには2S、できれば4Sを意識することは大切です。業務改善での探し方でもお話ししたように4Sの視点で説明します。

■準備
 まずは、現状の業務手順を書きだします。業務手順書・フロー図等書き方はいろいろありますが、ともかく、思いつくままに書き出すことです。ただし、ここでは、書き出すだけにして、内容についての照査は次のステップ以降に行います。

 ポイントはできる限り細かく書きだすことです。工場のように一挙手ずつ書くわけにはいかないと思いますが、はんこを押す、用紙に項目を記入する程度までは分解したほうがあとの流れが楽になります。

 また、当事者自身では書き出しにくいこともあるので、新入社員や他の業務担当者が手順を教えてもらうつもりで書き出すと細かく書き出せると思います。

■整理
 次に作成した業務手順の中のひとつひとつの作業に無駄がないかどうかを考えます。ご存知のように整理とは不要なものを捨てることです。業務でいえば、無駄な作業をなくすことにあります。
 
 といっても担当者や関係者は業務にケチをつけられるのを嫌がりますし、そもそも無駄に感じていない場合も少なくないので、第3者が関与することが望ましいです。インターネットで作業手順書を入手したり、他社事例を入手することでそれらと比較することが基本となります。また、複数の現場で同様の業務がある場合は現場間で比較することも有効です。

 どうしても、特殊な業務で比較ができない場合は、ひとつひとつの分解した作業の意味を考えてみます。具体的にはその作業を飛ばして困ることがあるかどうかを考えます。IT化により省力化できるというのは次のステップ以降で考えますのであくまで困るかどうかだけを考えてください。

■整頓
 次に整理した業務手順の並びを確認していきます。通常の整頓はほしいものを欲しいときに取り出せるように配置換えをすることですが、業務の整頓とは、業務が円滑に進めるように作業の並び替えや分割、委譲することを意味します。

 業務手順を従来と順番を変えてみたり、分けたりして、流れを見直していきます。特に通常業務と臨時業務の区分けをきちんとできるようにしておくことが大切です。これができるだけでずいぶん、業務の流れをスムーズにすることができます。また、業務の整頓を行うことで業務をIT化するきっかけをつくることができます。

 並び替えは一つの業務だけではなく、前後の関係する業務もいっしょに混ぜて考えるとより効果的です。特に上流側で必要な条件提示を行うことで下流側の業務が極端に少なくなったり、簡素化できることが多いです。

■清掃
 整理整頓が終わってものは全社統一書式でまとめましょう。4Sにおける清掃とはすぐに使えるようにきれいにしておくことですが業務での清掃は、他の業務の参考になるように、また、将来見直しの際に見やすいようにするための準備を行うことです。

 最初はシステム開発や特定分野の業務改善からスタートすると思いますが、できるだけそのきっかけを活かして、全社的な仕組みに昇格させることが大切です。

■清潔
 最後に清潔です。4Sでの清潔とはきれいさ、使いやすさを維持できるようにすることですが、業務の清潔は業務手順が行っている業務と一致しているように定期的に確認、見直しすることです。

 せっかく、作った手順書も時代の流れや組織の変更で現実に即さなることはよくあります。ここをそのままにしておくと結局元のもくあみになり、苦労が水の泡になります。

 社内規則や定期プロジェクトのような形にして見直せる仕組みづくりをつくっておくことをおすすめします。

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