前回、意識改善を始めること、そのためには他社事例を調べたり、見学したりすることを勧めました。もちろん、これだけで意識改善は図れません。漠然と「他社はいいなぁ」と思って終わりです。
他社見学や事例調査と並行して行うべきなので、ブレーンストーミングを用いた会議です。テーマは業務改善であるのが理想ですが、まずはどんなテーマでもいいですから、話しあえる環境を作りましょう。そのためには、ファシリテーター(議題を促進させる人)が必要で。誰かをあちこち行われる講習会に参加させてもよいのですが、外部専門家に依頼することで一定の緊張感を出すことも必要でしょう。
ブレーンストーミングについて、ご存知でない方のために説明しておきましょう。あるテーマに関して、既成概念にとらわれず、自由奔放にアイデアを出し合うアイデア発想法で、以下のようなルールがあります。
1.自由奔放に。既成の制約にとらわれない。
2.批判は行わない。アイデアに対する批判や判断、意見は不可。
3.アイデアの質より量を求める。アイデアは多いほどよい。
4.他人のアイデアを修正、改善、発展、結合することはよい。意見ではなく改善案や組合せはよい。
ルールを見ると簡単そうに見えますが、なかなかこのような作業はできません。大半の人は聞き側に回ったり、既成概念にとらわれて発言が縮小したり、人の意見の批評に回ったりします。他を否定するより創造することのほうが何倍も難しいと、実感するのにこのブレーンストーミングはたいへん有効です。ブレーンストーミングがうまくいかない場合、業務改善は進みにくい環境にあるとも言えます。
うまくできない場合はどうすればいいでしょうか。下記のような方法があります。
1.最初に付箋用紙をくばり、与えられたテーマについて3つ以上思いついたことを書く。その後、順番に発表する。ファシリテーターがホワイトボードや模造紙などに付箋用紙をはりつけていくが、あとで話がしやすいように発言をグループ化しておく。(KJ法)
2.肯定的意見が出にくい内容であれば、わざと否定的意見(つまり問題点、欠点)を挙げてみる。その問題点の解決策や、問題点が解決した場合の利点などについて書かせると、アイデアが広がりやすい。
3.出しやすいテーマからはじめる。「会社で出す3時のおやつは何がよいか」「社内旅行をするなら何をしたいか」などの練習問題を出して、頭の準備体操を行う。
これらは個別にではなく組み合わせて使うこともできます。最初はぎこちないでしょうが、数をこなせば慣れるはずです。必ずルールを説明し、守らない人には注意を促します。
このようにして行うブレーンストーミングの目的は、テーマに対するアイデアを出すことですが、それ以外にも
・発言者の偏りを減らせる。(全員発言による)
・メンバーの創造性を喚起しやすい。
・チームの一体感を強化しやすい。
などの目的があります。問題提起とは、現状の不満を形にすることです。そのためにも、業務に携わる人々からできるだけ多くのアイデア、話を出してもらいましょう。不満を漏れなくくみ上げねば、、成果も一時的もしくは部分的になってしまいます。多くの支援事例からも、この最初の不満の網羅性が重要な鍵になっているのは明白です。
上記のブレーンストーミング以外にも、社内ブログや掲示板といったIT活用によるアイデア発信を行うケースもあります。とはいえ、会社にその発言を許容できる環境や雰囲気がなければできません。その下地作りがブレーンストーミングによる会議なのです。