これまで、業務改善のはじめかた(全3回)と業務改善の育て方(全7回)で、業務改善に対する基礎知識をお話してきました。
今回からは、基礎知識を踏まえ、業務改善すべき箇所を探す方法について述べたいと思います。
1.いらない業務はないか探す(業務の廃止)
まず第一に取り組むべきことは、業務が必要かどうか見直すことです。あれば助かるといった考え方では、一向に減りません。対象の業務が無くなったら何が困るかを考えてください。そこで、何も困ることがなければ、その業務は不要なのです。この際、担当者・担当部署への配慮は絶対にしてはいけません。
利用頻度の低い集計業務(集計結果を誰も見ない)や転送業務(なぜかただ経由するだけ)、独自業務(ある支店だけ行われている)などは、真っ先にその意味を考えるべきでしょう。
2.簡単になる業務をさがす(業務の簡素化)
業務の流れ(関与者の数)が長いものは、その人々が本当に関与すべきなのかを考えてみましょう。閲覧と承認をきちんと分離するだけでも、十分に簡素化します。印座は作成・審査・承認の3つとし、ハンコも3つだけ。閲覧は回覧用紙を別途付け、そこにチェックをいれる。承認の流れと回覧の流れは必ず分離しましょう。
また、様式集が入った棚への用紙の補充業務も、電子化してダウンロードする仕組みにすれば、なくすことができます。この辺りについては、少しIT活用例を勉強する必要がありますが、決して難しいことではありません。
様式の記入項目も重要です。社員コード・現場コードを作り、氏名や住所・電話番号などを何回も各用紙に書くという作業をなくせば、作業の簡素化だけでなく作成者の心理負担もなくせます。
3.統一できていない業務をさがす(業務の標準化)
支店ごと、職場ごとに微妙にちがう社内書類・業務ルールはありませんか?
業務分掌が店ごとに違っていませんか?
これらは、たいしたことがないと思われるかもしれませんが、大問題です。支店や職場を移動するのに新たな業務ルールを覚える必要が生じ、法改正による修正も各職場(もしくは支店)で行わなくてはいけません。標準化しておけば1箇所ですみますし、電子化して一元管理していれば、配布すら不要です。コンプライアンス(法令遵守)の面からも標準化は必要不可欠です。
4.だれもが容易にできない業務をさがす(業務の容易化)
2の簡素化と混同しがちですが、こちらは業務を略するのではなく、誰でもできるようにすることです。ノウハウが形になっておらず特定の個人に依存する業 務というのは、作業速度がその個人の能力に左右されるだけでなく、その個人なしではできなくなる危険性を秘めます。もちろん、他社との差異化を図るのに必 要な暗黙知であれば問題ありませんが、一般事務の中にも、ローカルルールとしておかしな業務手順になっているものがあります。
口頭伝承で業務を引継ぎするような文化をなくし、文書化したうえで容易に出来るよう工夫する。専門知識や業務経験が無くても、手順書をみれば、新入社員 でもできるようにする。それが可能な業務を探すと、意外と多く見つかるものです。人が業務を生む出すのではなく、業務に人を割り当てるということを忘れないでください。