電子ファイル整理術

 ファイルの電子化に限らず、ISOなどの規格によるものや世の中の「見える化」のニーズに伴い、電子ファイルは増える一方です。10年前なら大きな現場でもせいぜい数十GBあれば、十二分と思われていたものも今では1TBを意識せざる得ない状況になっています。

 一つ一つのファイルサイズもパソコンの進化に伴い増えてきたのも事実ですが、ファイル数がとても増えたように感じます。そこで問題になるのが、ほしいファイルを探す手間が増えたということです。検索技術が発達し、ファイルの中身まで検索しやすくなったのはいいですが、その場の思いつきでつけた名前だとやはりピンと来ないのが実情です。やはり、一覧性や規則性があるとファイル同士の関連やファイル整理がしやすくなります。

 そこで、電子ファイルの上手な整理方法をお話ししたいと思います。まずはご自身のファイルで実践し、うまくいけば、同じ職場内そして、部内全体と広げていき、最終的には社内全体で統一できるような整理ルールをつくれるようになりましょう。

1.フォルダ分類ルール

 まずは、フォルダをどのように分けて使うかが大切になります。いくら検索技術が発達しても、フォルダを俯瞰的に見れるようにはなれません。また、フォルダ分類をきちんと決めておかないと毎回どのフォルダに入っているか検索しなくてはいけません。これは確実に作業効率にマイナスに働くだけでなく、気持ち的にもよくありません。

 フォルダ分類はいくつかの基準があります。

 ひとつは期限的な分類です。たとえば、工事であれば、着工前、施工中、竣工時といった感じで時系列的にグループを作るものです。工事の場合、時期ごとに特徴のある書類を作成することが多いので、このような分類は有効だと思います。

 もうひとつは提出先別です。現場でいうと、現場事務所内の書類なのか、社内スタッフ部門への書類なのか、社外での発注者向け書類なのか、関係官庁への書類なのかといった提出先で分類する方法です。これらは社内なら経理、庶務、人事などの細分類も一緒に考えておくといいでしょう。フォルダ分類はあらかじめ作っておくことで提出先の漏れをなくす効果もあります。

 3つめは参照フォルダと更新フォルダといったファイル自体の修正頻度で分類する方法です。これはフォルダ自身への書き込み制限などフォルダ権限をいっしょに設定すると効果があがります。発注図や仕様書のように最初に受領したものを間違って削除されないようにする際にこのような参照専用フォルダを設定し、管理者以外は書込みや削除ができない設定にしておくとトラブルが減ります。ひとりで使っているパソコンでもできれば、管理者IDと一般IDの二つを使い分けることで同様のことを行い、不用意なミスを減らすことは大切だと思います。

 上記で説明した3つの基準はどれか一つしか使えないわけではなく、むしろ、組み合わせることで効果がより高まります。期限別で分けたのち、提出先別で分類し、その中を参照用と更新用にわけるといったパターンがおすすめです。

 とはいっても、なかなか一度決めたフォルダルールを守れないのもよく聞く話です。そこで、おすすめしたいフォルダ分類ルールが2つあります。ひとつはフォルダのひな形を作ることです。もう一つは未整理フォルダを作ることです。

 ひとつ目のフォルダのひな形というのはあらかじめ分類ルールに従って空フォルダを作っておくというものです。できれば、最上位のフォルダの直下に各フォルダの説明や注意事項、分類を迷いがちになるようなファイルに対してのルール等を書いたREADME.TXTを入れておくといいです。あとは新しく始まったプロジェクトや仕事に対して、この空フォルダの塊をコピーして使えば、フォルダの作り損ねがなくなるうえに、全体像を俯瞰しやすくなると思います。実はこのフォルダのひな形は全体像が把握できていないとつくることはできません。そのために、ファイル整理が得手な人に作ってもらってそれをもらうことが一番いいでしょう。

 二つ目は未整理フォルダを作り、どうしても迷った時に入れる逃げ口をつくることです。これをしておくとデスクトップにばらばらとファイルを置く必要がなくなります。気をつけなくてはいけないのは定期的(できれば1週間、遅くても1か月)に中身を確認して整理することを忘れないようにすることです。これを忘れると資料をさがすのに未整理フォルダばかりをさがすことになります。未整理フォルダは緊急避難場所としてできるだけ使用しないことを心がけましょう。

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