電子ファイル整理術(その5)

 前回まで、電子ファイル整理術と称して、

 1.フォルダ分類ルール
 2.フォルダ・ファイル命名ルール
 3.個人ファイルとバックアップルール
 4.一時ファイルと削除ルール

についてお話をしてきました。最後はこれらを定着させるためのお話をします。

5.ルールのPDCA

 これは、整理術に限ったことではないのですが、PDCAサイクルを回すことが定着させるためにはとても重要です。つまり、

P:電子ファイルの整理ルールを作る
D:実際にメンバーに実施してもらう
C:不具合を確認する
A:不具合を修正し、新しいルールを追加する

とサイクルを回すことです。簡単なようで実際にはなかなか難しいです。実際に何度か経験してわかることですが

 簡単でないルールは必ず破られる

ということです。たとえば、個人フォルダの重要だと思わるものは共有フォルダにコピーしてください。といっても、一度パソコンが壊れたり、重要書類を間違って消したりとの苦い経験をしない限りついついめんどくさくなって守らなくなります。だからこそ、バックアップソフト等を使って、ルールを自動的に守れるようにします。

また、命名規則もついつい忘れがちになるので、ディスプレイの下に簡易なルールを書いたシールを貼ってもらい、保存時に目につくようにするなどの工夫をします。

あらかじめ、フォルダのひな形を作るのも同様です。できるだけ簡単にして守りやすくする工夫は必要です。

 でも、これらはルールを一度決めて、やってみるだけではなかなか思いつきません。ルールを決めたら、少しやってみて、しばらくしたのち、フォルダをみて、できていないルールを見つけ、そのルールを守ってもらうには何をすればいいかを考えて、新しいルールにしたり、守るための工夫を追加したりすることが大切です。

 もちろん、フォルダを見るだけでなく、利用者へのヒヤリングも大切です。フォルダの命名規則や分類方法は会社によってどうしても特徴が出ます。電子納品のように比較的ルールが定まっているものでも納品前までは担当者単位で管理して、納品時には納品規則に従った内容に並び替えるほうが最初から納品規則に従うより使い勝手が向上する場合があります。また、業務の種類や情報量の多い少ないで、分類の詳細さを調整しなければならいこともあります。これらも実業務で実際に出てくる書類の量や業務内容を把握してからでないとなかなか最初からルールにすることは難しいです。

 だからこそ、PDCAをしっかりまわして、よりよい整理術を作り出していくことは大切なのです。これを怠るとせっかく整理すれば便利だとわかっているのに定着しなくなることがとても多いのです。ルールを修正することで共有フォルダの中を入れ替える作業が必要になったりします。また、新しいルールをメンバーの周知する作業も必要になります。決して少ない労力ではありません。でも、将来必ずその労力が実を結ぶだろうことは整理して助かった思いを何回も経験している私は確信をもっています。

 これから、情報量は増えることはあっても減ることはないと思います。検索技術はますます進化するとは思いますが、整理術が不要になることもないと思います。みなさんの企業でもぜひ、電子ファイルの整理術を形にして、無駄な探す時間をなくし、過去の資産を最大限に生かして、少しでも早く仕事が終わる環境を作り出してください。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする