前回の「電子データ管理ルール」、前々回の「電子データ作成ルール」策定を無事にクリアし、運用を始めたとします。次第にデータが蓄積されてくると、求める資料を得るのに時間がかかるようになるでしょう。最初は、担当者への電話で済んでいたものが、時間がたつにつれ担当者の記憶もあいまいになり、担当者の所属が別工事に変わって、連絡が取りづらくなったりします。そうこうするうち、集めたデータが利用されにくくなり、結局、集めるだけが目的の困ったシステムになってしまうのです。
では、再利用を促すにはどうすればいいのか。それは便利な検索方法を提供することです。
まず、第1に思い浮ぶのが、ファイル名による検索です。命名ルールをきちんとしておけば、かなりの精度で検索できるでしょう。特別なソフトを使用しなくても、Windows エクスプローラーの基本機能である「ファイル検索」を利用すればよいので、気軽です。しかし、ファイル名にも限界があるので、詳しい内容で検索をかけることはできません。
次に思い浮かぶ方法は、工事ごとにキーワードをまとめてデータベース化することです。
複雑な内容でなければ、エクセル等表計算ソフトにでも記入して整理できるでしょう。内容をやや詳しく書くの
であれば、アクセス等のデータベースソフトで管理すると、検索性は一段とあがります。ファイル名の検索に比べて、細やかな検索も可能。しかし、キーワード以上のものは検索できません。どんな言葉をキーワードに登録するかが鍵です。
最後に、意外と知られていないがみなさんが知らず知らずのうちにお使いの「全文検索」による方法です。
Yahoo! Japan等で、任意のキーワードを入力した時、サイトのホームページもない奥のページが検索結果に出てきたことはありませんか。これは、Yahoo!のサーバーにある全文検索システムが、世界中のホームページの文章自体を検索することにで実現しています。
パソコンでも、これと同様です。つまり、エクセルやワード、パワーポイントやPDFにいたるまで、ファイル名ではなく、そのファイルの中に書かれている文章を検索するシステムがあり、これを「全文検索システム」といいます。
これなら、手間のかかるキーワード登録も無用。ソフトが自動的(通常夜間のあいだ)に新規追加されたファイルの中身を調べ、検索できる状態にしてくれます。
安いものは無料でありますが、高いものは数百万円以上。代表的なものとして、以下があります。
・Namazu(Namazu Project)
・SharePoint Portal Server(Microsoft)
・ConceptBase Search(JustSystem)
どれも導入に手間がかかるので簡単にはおすすめできませんが、データの有効活用の視点からは、ぜひ検討していただきたいものです。
簡単で比較的安価なものとしては、
サーチクロス(ビレッジセンター)3,045円
KWIC Finder(hishida)1,050円
があります。最初はこの辺りから始め、どのようなことができるのかお試しになるのもよいでしょう。