前回、ファイリングとは「書類の作成から分類・整理して保管し、期間が過ぎれば破棄するという書類運用のしくみ」ということで、中核になるパイプ式ファイルの作業的なポイントについてお話ししました。
今回は、ファイリングの基本ルールについてお話しします。
(1) 整理・・・捨てること
2Sをご存知ですか。いわゆる整理整頓のことです。
よく勘違いされるのであえて説明しますが、整理と整頓は全く別の作業を意味します。整理とは「いるものといらないものを分ける」作業です。整頓とは「取り出しやすい位置に並べる」作業です。 整頓したのちに整理すると、不要なものまで並べることになるので、必ず整理→整頓の順に作業せねばなりません。
つまり、ファイリングのスタートは「いらないものを捨てる」、いいかえると「ファイルにとじるものとじないものを区分けするルールをつくること」となります。当たり前と思われるかもしれませんが、「ともかく綴じといて」といわれていることが少なくないのではないでしょうか。また、捨てることに躊躇し、机の周りが紙だらけという方もいらっしゃるようです。「ファイリングの第一歩は捨てること」と覚えてください。
(2) 整頓・・・書庫選び
整理ができたら、次は整頓です。ファイリングはただ保管するだけのものではありません。必要に応じて、追加削除差替などを行い、最新の状態に維持し、参照する際に見やすくする必要があります。整頓=「取り出しやすい位置に並べる」ことならば、書庫棚やラックのようなものをファイルサイズに合わせて用意します。
最近は、棚の高さをかなり細かく設定できる書庫棚も増えてきましたが、割付をちゃんと意識しないと無駄な空間ができてしまうことがあります。A4ファイル、A3ファイルをどのようにおさめればいいのか、増えてくる量を踏まえて、あらかじめ余裕のあるサイズの書庫を用意しましょう。当然のことながら、ファイルを上に積み重ねて入れる等は、「取り出しやすい」という点において論外です。立てて並べるようにサイズを決めましょう。紙ファイルなどで、どうしても立ちにくいものは集めて、ファイルボックスなどに入れることで自立するようにします。
また、棚には無理に詰めず、ある程度はグループ単位で分けるようにしましょう。品質・安全・工程・原価のような大分類からスタートして、年度別、工事別のような中分類小分類を棚単位で決めておくことが重要です。棚の側面にラベルを貼るとわかりやすいでしょう。スチール製なら、お勧めはマグネット利用で、内容が変わったり、並べ替えたりする際もスマートに貼り替えられます。また、扉なしのオープンタイプにするのか、透明窓付きの扉にするのか、隠せる扉にするのか、扉に鍵をつけるかつけないかなど、書庫の保管機能についても明確に考えておく必要があります。できれば、同一規格の扉付き書庫棚で統一し、はずすかつけるかで保管機能や取り出しやすさを調整するとがいいと思います。「整頓は書庫選びで決まる」ことを覚えてください。
(3) 保管・・・期間を明確に
整頓しておいても、書類が増えてくると書庫の維持が難しくなります。そこで、ファイルを保管箱に収め、倉庫などに移す作業が必要になります。ここで一番大事なことは保管期間です。平たく言うと「書類の寿命を決める」ことです。
さて、保管箱に収め倉庫に入れる書類は、日常業務にとりあえず不要なものと言えます。 また、最新版管理はできないので、古い情報ともなります。つまり、いつか捨てる書類が倉庫に行くのですね。そこで、いつ捨てるかを決めておくことが重要なのです。数カ月程度であれば問題ありませんが、数年以上保管するとなると、そのうち書類の価値自体が分からなくなることも多々あります。しかし、たとえば技術書類などは、10年経過していたとしても、貴重なものがあります。
そこで、2種類の記述を用意します。法律やその他経験則に照らし合わせて、不要になる時期が明確なものについては、倉庫に入れる前に廃棄時期を記載します。技術書類など、将来において見直す可能性があるものは、再確認時期を記載します。このようにして、どちらかの時期を必ず書くとともに、同じ時期のものを集めて倉庫に入れておきましょう。これも一種の整頓です。
そして、廃棄に関する記載については、細断して捨てるものとそのままリサイクルに出せるものはできるだけ分けておくのが理想です。箱単位では無理であるとしても、ファイル単位でもよいのです。ファイルの表紙に細断かリサイクルかを明示して(シールをはる)おきましょう。
また、できるだけ容量が少なくなるよう、パイプ式ファイルを外し、綴じひもと厚紙で綴じなおすような配慮も行うとよいでしょう。そうすることで捨てる際も分別しやすくなります。「保管は廃棄時期・見直し時期を明確にする」ことを覚えてください。