ファイリングのポイント(その4)

 前回に引き続き、ファイリングについて補足的な説明をします。

1.個人資料と共有資料の区分け

 ファイリングで困るのが、個人資料と共有資料の区分けです。作業途中で他の人に触られたくないものも個人資料とすると、結構な量が個人の引き出し(電子データならフォルダ)に入ることになります。いっぽう、図面などは、最初の工務担当から施工主任、担当者など様々な人が触ることになります。ルールを作らないとすぐに最新版管理ができなくなるでしょう。

 ポイントは2つ。ひとつは作成履歴を残すことです。紙なら作成資料の先頭に、電子データならトップページの前に、履歴用の場所を用意し、作成・修正日とその作業者を記録するのが一番です。図面であれば、表題欄の上に作るのが一番ですが、発注者にとっては不要な情報だったりするので、画層を分けておきましょう。 

 もうひとつは、本当の個人資料とは分けることです。個人資料のうち、最終的に共有資料になるものについては、いつでも閲覧できる場所に入れます。共同作業においてはもちろんのこと、担当者の不在時に、作成途中の書類を調べることはよくあります。そういう時、個人の引き出しに入れてあると、開けづらいばかりでなく、ファイリングもおろそかになりがちです。そこで、書庫に個人スペースを設け、管理は個人ごとでするが、そのルールは、共有資料と同様のものを適用します。たとえば、電子データなら、○○専用と題し、共有サーバーにフォルダを作成しましょう。こうすることで、資料が見やすくなるだけでなく、個々人の仕事の進捗や整理整頓の状況などもわかり、業務改善の一環にもなります。

2.資料のリビジョン(改訂)管理

 せっかく書類が完成しても、部分修正が必要になることがあります。工事の施工計画書なら、工事内容の変更・工期変更が起きた場合です。一般的な書籍で言うところの改訂版ですね。普通は、改訂した最新版のみを管理しますが、履歴を表現しにくい場合・金額変更にも関係するような場合は、改訂前のものも残す必要が出てきます。履歴をきちんと残さなかった結果、設計変更が認められず、お金をもらえなかったなどの悲劇も、ないわけではありません。

 大事なポイントは、リビジョン表記です。第○回改訂と銘打つようにしましょう。書類そのものに改訂版の表記ができない場合は、先ほどの履歴表示と同様、改訂用の表紙をさらに上に載せましょう。理想は、そこに改訂内容を記すことですが、最低限、回数管理をしていれば比較はできます。また、電子データならば、比較ソフトや比較機能があるものを利用すれば、難しくない差異を見つけられます。現場や事務所で使う帳票もリビジョン管理をすれば、間違って古いものを利用することも減り、業務改善の歴史になるでしょう。

3.便利な機器類

 ファイリングにおいて、見やすさは重要なポイントです。色分けやインデックス、背表紙テンプレートなどもそのひとつです。とはいえ、手書きで作るのは何かと大変。そこで、いくつかの便利な事務機器を紹介しましょう。

(1) タイトルブレーン(コクヨ)

 インデックス用の印刷専用機。単独で使えるものもありますが、パソコンにつなぐと、同じインデックスを何回でも気軽に印字できます。専用機なだけあって、使いかけのインデックス用紙でも、場所を指定して印字でき無駄がありません。インクジェットプリンターでも印字はできますが、専用機の便利さを知ると、手放せなくなります。

(2) テプラ(キングジム)

 皆さんもよくご存じのラベルプリンターです。大半の人は単独でお使いのようですが、パソコンへの接続機能があります。ソフトを使うことで、プリンターとしてフォントを自由に使えたり特殊な絵柄を入れたりと、より豊富な表現ができます。ファイル保存もできますので、一度作って再利用するなども便利です。

(3) DICSタイトルプリンター(カシオ)

 電子納品をたくさん行った方はご存知かもしれませんね。CD-Rの表面に文字を印刷する専用機器です。インクジェットプリンターに同様の機能がついているものもありますが、専用機ならではの手軽さがあります。

 

 全部そろえる必要はないかもしれませんが、作業が多くて困っている、インクジェットプリンターは場所をとる、操作が手間だなどという方は、購入を検討されてはいかがでしょうか。

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