前回に続き、書類の4Sにも欠かせないコードの作成についてお話します。
今回はコード基準の作成、いわゆるコード設計についてお話しします。今回はその準備編です。
1.背景や目的の明確化
基本的なことですが、何のためにコード化するのかは明示しておいたほうがいいです。
例えば、従来のコード体系が製品群を表すのに桁数が足りないとか矛盾した設定をせざるを得ないとかいったことや名前の表記ゆれで同じものを違ったものとして管理している問題があるといったこと、分類別に集計をするのに不便といったことです。
大抵はシステム化や再構築の際に見直しすることが目的になると思いますが、システム化する前の手書きの段階でも有用な場合もあります。上記の問題が出てきたときにシステム構築前でもコード化を検討するといいと思います。
目的を明記しておくと、コード体系に悩んだ時の道しるべになることが多いです。簡単でもいいので背景や目的を書いておくことをお勧めします。
2.事前調査
次は、利用対象に関係している国際・業界標準のコードがないかを探してみましょう。合わせておくとそのまま外部にも利用できますし、基準が流用できるので設計も楽です。
もちろん、そのままだと使いにくければ、参考にして自社用にアレンジするのもいいと思います。例でいうと、JANコードのインストアコードのように生成ルールは同じで、番号がオリジナルといった使い方です。
また、自社内に似たようなコードがないかも探しましょう。コードは便利ですが、乱立するとかえって管理が大変です。共通で利用できる可能性はないかを考えましょう。その際に新システムを構築するのであれば、既存コード体系も一緒に見直して、全体で使えるコード設計にするのもお勧めです。
例でいうと、製品コードと商品コードがあるとして、末尾の記号や数字で区別できるようにしておくと、この商品がどの製品の派生でできたかが一目でわかるといった感じです。
3.適用範囲・管理者を決める
できるだけ、広範囲が理想ですが、制約条件が増えることにもなります。背景や目的によって部門単位なのか、全社なのか、関係企業も巻き込むのか、全国もっというと全世界まで広がりを持つのかを考えましょう。
広がれば広がるほど効果は大きいですが、他のコード体系との関係を意識する必要があります。まずは全社内+関係企業ぐらいを上限値に考えてみましょう。
当然、範囲設定によって管理者が変わります。関係企業も巻き込むとなると経営幹部クラスが管理者になり、実務管理者と分けて任命しておいた方が他企業との調整にいいと思います。
管理者を決めておくと、最終判断を決断しやすいですし、運用時の情報共有も進めやすいです。適用範囲と一緒に決めておくようにしましょう。
4.コード化するデータ数の設定
コード化の対象となるデータ数を把握しましょう。上記で適用範囲が決まると対象となるデータ数が見えてくると思います。
この際に注意すべきことは既存データだけでなく、将来増えるだろうデータ数を見据えた設定が必要だということです。桁数が不足すると、せっかく作ったコードの再設計が必要になる場合も出てくるので、労力が無駄になります。
既存データの年間の増加量や対象範囲の拡大傾向などを踏まえて余裕をもった設定をしてください。ただし、余裕を持ちすぎると桁数が増えすぎて管理も入力もかえって大変になります。
システムの寿命設定にもよりますが、最大で10年ぐらいを目安に考えてください。桁数が増えすぎる場合は状況によってコードを分割して役割を分けることも視野に入れてもいいと思います。