在庫低減(その5)

 今回も在庫低減のお話しをしていきます。今回も在庫削減を実現するための視点についてです。

 前回は在庫改善対象を削減するために検討すべき視点で物流面と出荷面でのお話しをしましたが、今回はシステム面です。

(5) システム

 在庫を把握できるシステムがあるととても便利です。在庫数による入出庫の調整や在庫金額の算定、在庫期間の長い商品の抽出や適正な在庫量の検討と様々な用途に使えます。損益計算書にも貸借対照表にも影響する在庫ですからその把握はとても重要です。

 そのため、多くの企業では在庫管理システムを導入しています。しかし、機能していないことが多いこともまたよく聞きます。その中で特によく聞く2つの話を紹介します。

・在庫情報が信頼できない。

 今ある在庫を把握できていない状態です。結果として、在庫しているかどうかをシステムの数字を見ただけでは信用できないために現地に行って数を確認しているといった感じです。

 理由は入力タイミングが遅いのが一番です。まとめ入力を毎日夕方ならともかく週末に行っているケースもありました。メイン製品・商品ではあまりありませんが、副資材では結構少なくないです。要は在庫情報が古いということです。

 もちろん、出庫計画の前に更新できればいいので、当日出庫をしないとか入力時に入庫量や予定出庫量もわかっていれば問題はあまりありません。つまり、入出庫の頻度に合わせた入力頻度の設定、業務基準・手順が決まっていないこともしくは守られていないことが問題なのです。

 同様に入力ミスによる理由で数量が間違っていることが多いのもよくあります。詳しい話は別途しますが、入力時の数え間違い、読み間違い、打ち間違いや入力忘れなども多いです。対策として数量のダブルチェックの話もよく出ますが、そもそもミスしやすい数え方にならないような仕組みづくりも考える必要があります。ある程度の数量を束にして、束と端数を数えるようにするとか、入出庫頻度の多い在庫品と低い在庫品を分けて、数えるタイミングをずらせるようにするとかです。こちらも基準・手順が決まっていれば減らせることが多いです。

 システム側の入力の大変さでまとめ入力になる場合もあるので、バーコードやQRコード、ICタグなどで入力支援をシステムに組み込むことも大切ですが、基準・手順がない状態では無意味です。

・問題在庫がわからない

 こちらは入力側ではなく出力側の問題でシステム自身がその機能をもっていないこともありますが、せっかく分析できるデータがあるのに加工できていないこともあります。

 具体的には長期間出庫実績がない在庫品や出庫はしているものの在庫量が多い状態で長く入庫している在庫品、廃棄対象になっているはずなのに在庫している品などを見つけ出せずにただ日々の入出庫のためだけにしか使っていない状態です。

 こちらは少しITスキルというかエクセルのピボットテーブル機能とVLOOKUP関数が使えるかどうかでカバーできることがあります。もちろん、入出庫記録をテキストファイル等で出力できる機能がなければそれも難しいのですが、データベースを使っている最近のシステムであればできないことは少ないです。(自社開発の場合はできないこともあります)

 しかし、最大の問題はその機能があることを知らないとか使ったことがないとかいうケースが多いことです。特に自社開発システムの場合、担当者だけでなく、運用・管理側も知らなかった機能があることを支援先で何度か経験しています。メニューを一個ずつ調べていけばわかることですが、見えているけど見えていないといった感じです。

 もちろん、こちらもどこまでの期間なら問題在庫というか、在庫量が多いとはいくつを指すのか、どのタイミングでだれがどのようにして検討するのかなど評価基準・手順がなくて、できていないこともあります。

 よく「動かないシステム」「使えないシステム」といわれるシステムがありますが、大半が基準・手順とシステムがあっていないことや機能そのものを把握していないために「動かせていないシステム」「使いこなせていないシステム」となっていることが少なくありません。

 今一度、自社の使っているシステム機能の棚卸をしてから、業務と実態があっているかを確認してみましょう。

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