今回から数回にわたって、使用頻度の高いソフトをより一層便利に使いこなせるようお話していきます。
今回はエクセルです。エクセルが表計算ソフトであることは、何となくご存知でしょうが、「表計算機能」は積極的に利用されていますか。
初心者の多くは、表作成がしやすいソフトとしての利用ででしょう。工法の比較表や月報、出来形管理表等、文字だけのものや数字と四則演算(+、=、×、÷)の組み合わせで使われているケースです。
せっかく表計算機能があるのですから、ちょっと背伸びして使ってみると、もっと業務が楽にできるようになります。
今回は関数についてお話しましょう。関数は、与えられた引数(セル名や範囲、数値)を元にいろいろな計算・処理を行います。
通常は、
=SUM(A1:B2)
のようにセルに入力します。上記の例は、SUMが関数名、カッコの中が引数です。この例は、A1とB2で囲まれたセル範囲(具体的にいうと1,A2,B1,B2)の合計を出すためのものです。
「電卓で十分だ」といってしまえばそれまでです。しかし、A1,A2,B1,B2のどれか一箇所を変更したら、電卓では、まるまる計算しなおしですね。いっぽう、エクセルはたちどころに再計算してくれます。また、電卓と違い、入力した数字は画面上でいつでも確認出来ますから、入力ミスにも気づきやすいのです。数字をあとで確認したほうがよいものについては、私は電卓ではなくエクセルで行っています。
また、様々な関数を学び組み合わせることで、市販ソフト顔負けのシートを作ることも可能です。一人がつくれば、社内でみんなが利用できるようになります。
話が少しそれますが、社内で共有するには、全員がある程度エクセル関数を理解しているかどうかで手間が変わります。計算式のはいったセルの保護や入力制限など、エクセルにある機能で様々な誤作動防止(いわゆるバカボウ)は作れますが、時間が掛かりすぎます。私としては、今回から説明するいくつかの関数だけでも覚えていただけると、不具合のチェックや応用も利くようになると思います。そのほうが少数の出来る人に負担をかけるより、ずっと作業効率があがるはずです。
さて、エクセルの関数はどのくらいあるでしょうか?実は全部で300以上もあるのです。しかも、関数一覧にもヘルプにも掲載されていないものも存在します。(昔からの互換性のためにあるものですが、とても便利なものもあります。)
その中で私がよく使うおすすめの関数をご紹介しましょう。関数は、その役割からいくつかのグループに分かれています。使うときにも、そのグループから選ぶとわかりやすいので、説明もグループ単位でしていきます。
まず覚えて欲しいのは、即戦力となる8個の関数です。
1.統計関数
下記の5つ。これらは複数のセルを引数にもちいて行われ、統計関数といわれています。(正確にいうとSUMだけは数学関数扱いです。)この5つは使用頻度が高く、特別なボタンが用意されています。合計を出すときに押す Σ ボタンの横にある▼をクリックすると、表示されます。
目 的 関数名
合計を出す。 SUM(セル範囲)
平均を求める AVERAGE(セル範囲)
数値の個数を数える COUNT(セル範囲)
最大の数字を見つける MAX(セル範囲)
最小の数字を見つける MIN(セル範囲)
2.数学関数
四捨五入など数量計算書や、小数点を含むものを計算するときに使います。印刷した後に電卓でチェックすると、だんだん計算結果がずれるという話をよく耳にしますが、それはエクセルが、表示とは別に有効桁数15桁まで結果を保持しているせいです。実際に四則演算(特に割り算・掛け算)を繰り返していると、非表示部分の影響がかなり出てきます。公共工事の積算や見積書での消費税など、小数点以下の有効数字をコントロールしたい場面は多いでしょう。そのときに使うのが以下の3つです。
目 的 関数名
四捨五入する ROUND(数値、桁数)
切り捨てる ROUNDDOWN(数値、桁数)
切り上げる ROUNDUP(数値、桁数)
ここでの桁数は、小数点以下の数です。例えば、1.2345の小数点以下を2桁にしたい場合は、ROUND(1.2345,3) と書きます。結果は1.23となります。
ここで応用のポイントをひとつ。桁数にマイナス数字を入れると、小数点以上を操作できます。例えば、1234を百の位でまとめたいなら、ROUND(1234,-2)と書けば、結果は1200となります。
上記の8個の関数を使いこなせば、数量計算書はもちろんのこと、見積書や集計表がとても簡単に作れます。ぜひお試しください。